いんぴに4

□73.狙う
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【73.狙う】




双子の兄ウヒョンに連れられて来たカフェ。
女の子が多くて、居ずらい…マジなんなの。


「あ、ウヒョナもしかしてまた??」

「…またってなんだよ」

「またでしょ?っていうかこの間の彼女は?」

「別れた」

「えー!??だって…あれ、1ヶ月たった…?」


経ってない。ってあっさりというウヒョンに頭が痛くなる。

ボクとウヒョンは双子だけど顔は似てない。
二卵性だからか、顔も性格も趣味も好みも似ていない。


「で?今日は別れた報告?」

「違うよ。オレは恋をしたんだ!」


ボクのジト目も受け流して、「今度は本気なんだ!」「とってもキレイな人でね!」と今まで何回も聞いた言葉をツラツラと喋るウヒョン。


「実はココで働いてるんだ!」

「へぇ〜」


ボクはこれまであった「この娘!」という展開を予想して、一応身なりを整えた。


『失礼します。あ、ウヒョンさん』

「こんにちは」


おぉこの娘?今度は清純派か。
前の娘は、モデルでその前はOLさんで、その前は…


「キボマは?なに食べる?ここケーキ美味しいよ」

「え?あ、うん…じゃぁおススメで」

『はい!かしこまりました』


去って行った女の子の背を見送るウヒョンは、恋してる目でそんな目されたらボクも文句言えない。
はぁ…ボクって本当甘いなぁ…


「可愛い娘じゃん」

「へ?」

「あの娘。今度こそ頑張りなよ」

「え??キボマ??」

「…え?あ、あの娘じゃないの?好きな人」

「えー?!違うよぉ。片想いの相手はココの店長さん!」

「そうなんだぁ…って、片想い?!お前が?!」


これまで紹介される時はいつももう付き合っていた。「片想い」なんてこれまで20数年生きてきて、はじめてだ!

あぁ、でも「今度は本気!」というくらいに本気なんだろう。


「なんかあの人前にすると緊張しちゃって、うまく話せないんだよね」

「へぇ〜マジなんだ」


えへへって笑う顔が本当に兄だけど可愛いなぁと思ってしまったボクは、この恋を応援するしかないでしょ。


「あ、ウヒョンさん?こんにちは」


頼んだ飲み物やケーキを持ってきてくれたのは、さっきの女の子じゃなく少し目が細い(ボクより細いよ!)男の人。

ウヒョン、お前どんだけこの店通い詰めてんだよ…


「ソソソソンギュさん!!こんにちは!」

「今日はお友だちとですか?はじめてじゃないですか?いつもおひとりだし」

「おおお弟なんです!双子の!!」

「へぇ!!双子?!オレ双子ってはじめてみました」

「に、似てないでしょ!?二卵性なんです!」

「あ〜一卵性が瓜二つなんですよね」


それからしばらくふたりの会話に置いてかれて、ケーキも食べ終わってウヒョンのを頂いた。…バレてない。どんだけ熱中して会話してんだか。


「…はぁ〜緊張したぁ〜」

「ん??」

「はぁ…今日は可愛かったなぁ」

「んん??」


ウヒョンのケーキも食べ終わって、一息ついていると落とされた爆弾。
ボクの「?」に気が付いたらしいウヒョンは、ものすっごい笑顔で言い放った。


「オレの片想いの人。さっきのソンギュさん」


ボクの絶叫は店内に響いて、
ソンギュさんにこっぴどく怒られた。










続く…

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