えくそ4
□ケガの功名じゃないけど
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「う゛ぁ!!!」
「ジョンイナ?どうしたの??」
軽音部との合同練習中。
延長コードに足を取られて、ドタン!と大きな音を立てながらコケてしまった。
軽音部のヒョンたちもダンス部のヒョンたちも一斉に駆け寄って来た。
「ジョンイナ!大丈夫?!」
「だ、だいじょうぶです」
「血!!!!!!!」
ベクヒョンに指さされて見た先の自分のヒザが大変な事になってて、パニックになった。
「うわぁー…」
静かにパニックになるオレと、集団パニックになったヒョンたち。そんな中グイっとオレの身体が持ち上がった。
「え?え、え??」
どんどん高くなる目線を上に向ければ、チャニョルヒョン。え??
「ジョンイナ保健室に連れて行くわ」
「う、うん!チャニョルヨロシク!」
「オレたちも片づけたら行くよ!」
うん。と言ってオレを…あれだお姫さま抱っこして保健室に連れて行ってくれた。
まだパにくってるオレは抵抗もせずそのまま。
助かったのは、いつも廊下とかで練習してる吹奏楽部や歩いている生徒がいなかった事。
「すいませーん」
器用に足で保健室のドアを開けたチャニョルヒョンは、オレをベッドに降ろして先生を探してる。
「あれー?いないのか…どうしよう…」
何やらガチャガチャしてるなーと思ったら、よく保健室の先生が使う台を引っ張ってきた。
「先生いないから、オレが手当するね」
「うん…でも、ヒョン出来るんですか?」
「これくらい出来るよー」
見よう見真似だけど!といって消毒薬を脱脂綿に湿らせて、チョンチョンと傷口に付けられて、ピリピリとした痛みに身体がピクリと反応してしまった。
「痛い?」
「ちょっと、だけ…大丈夫です」
「もう少しだけガマンしてね?」
子どもをあやすように頬っぺたにチュッとキスして、脱脂綿を変えてもう一度消毒薬を塗ってガーゼを当ててテーピングしてくれて、「ありがとうございます」って言いたい所だけど、それどころじゃない。今なにした?このヒョンは。
「はい。終わり。どう?締め付けすぎてない?歩ける?…ジョンイナ?」
「ふぁ?!え、あ、はい!」
除き込まれた顔があまりに近くて仰け反ると、
仰け反りすぎてベッドに倒れてしまった。
「あはは、大丈夫?ジョンイナ。今度は頭から血出さないでね?」
「っ!////」
起こしてくれたチャニョルヒョンの顔が見れない。なに、このヒョンさっきキスしたよね!??頬っぺたにだけどさ!!
「他はケガしてないよね?痛い所ない?」
「う、ん…大丈夫です」
あれだよね。ムカつくけど、子どもにするような感じだよね?痛いの痛いの飛んでけー☆みたいな。
持ってきた台を戻して帰ってきたチャニョルヒョンは、オレの座っている横に座ったきり離さない。上を見たままボーとしてる。
「ヒョン?」
部室に帰らないのかな?
そういえば他のヒョンたちも「後で行くから!」って言ってたし、待ってるのかな?
「…ジョンイナ、」
「なんですか?」
やけに真剣な顔で見てくるチャニョルヒョン。そんな顔、部活中でも見た事なかったから自然と背筋が伸びた。
真剣な話なのかな。と次の言葉を待っていると、頬に手を添えられた。「ヒョン?」と呼んでも黙ってるし。
正直さっき今触れられている頬にキスされたから胸がドキドキしてるんだけど。真剣な話なんだもんな!
「 」
ヒョンが口を動かしてどんどん近づいて来るなー…ってどこか他人事で考えて、もう少しで触れそうって所で………
「ジョンイナ!!大丈夫?!!」
わいわいとスホヒョン、ベッキョニヒョン、レイヒョンがオレたちふたりの荷物を持って来てくれた。
「大丈夫そうだな。セフナたちは先にマックに行ってるけど、ジョンイナ行く?」
「……」
「ジョンイナ?気分悪いの?」
「だ、だ、だ、だいじょうぶ!!!!行く!!」
いつの間にか離れていたチャニョルヒョンは、もうベッキョニヒョンとふざけ合ってるし…。
さっきのは…
「ジョンイナー?行くよー」
「は、はい!」
ゴミでも付いてたんだよね。
うん。ゴミゴミ。
さぁ、マックで沢山食べよう!!
ヒョンたちの後ろを追おうと保健室を出ようとすると、背負ったリュックが後ろに引かれた。
「わぁ、…チャ、チャニョルヒョンっ」
ゴミを取ろうとしただけ!!と心の中で繰り返していたのに…
「さっきの考えておいてね」
ニッコリ笑ったチャニョルヒョンが「待って〜」っと保健室を出て行ったのをレイヒョンが心配して迎えに来てくれるまで、突っ立て見てた。
唇を抑えたまま。
「ジョンイナ?顔真っ赤だけど、」
「なななななななんでもないです!!////」
「…ちゆちゆする?」
「……お願いします…////」
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