えんぶれ

□03.諦める
1ページ/1ページ



【03.諦める】


うちの三男はどうしてあんなにバカなんだ。


「なぁ、スンホ〜ケータイ壊れたんだけど…」


話を聞けば風呂でイジっていたら動かなくなった…って。


「え?なんで?スンホもたまに風呂でイジってるじゃん。」

「あれは、防水なの!お前のは違うだろ?」

「え〜…そうだっけ?」


頭が痛くなる……。


「ほら、バカな子ほどカワイイっていうじゃん」


ジオのウィンクで更に頭が痛くなる。

そりゃぁ、付き合ってんだからカワイイとは思うさ(っていうかいつも思ってる)

でもさ、でもさ…!!


「スンホ〜?ねぇ、直らない?」

「…うっ」


動かない携帯を握りしめて、涙目で顔を覗き込んでくるジュンはめちゃくちゃカワイかった。

ダメ、ダメ。
こいつの悪い所は、同じ事を繰り返すっていう事。しっかり、ダメだって躾ないと直してもまたやるんだ。


「スンホぉ〜…」


ヒザをユサユサ揺さぶられてオレの心の中の天秤は、一気に片方に傾いてしまった。


「…直るよ、泣くなよ…」

「ほんと!??」


わぁ〜い、とはしゃぐジュンの背中越しにジオがパクパクと口を動かす。


『あま〜い』


ニヤニヤ笑うジオは、無視してドライヤーを取りに行って鏡に映った自分の顔を見て、諦めた。


だってこんなに楽しそうな顔をしてるんだもん。ジュンが頼ってこなくなったら楽しくない。
















「スンホ〜なんかまた動かなくなった!」

「……」

「なぁ、愛あるお説教も大切だよ?」

「……」



汚れてたから洗ってみたんだ!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ