いんぴに本文3
□02.追いかける
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【02.追いかける】
「なに、緊張してんの?」
「そ、そりゃぁ…」
コンサートなんて何回も経験して来たけど、
めちゃめちゃ緊張する。手が震えるくらい。
なんでかは、自分でもわかってる。
ヒチョルヒョンと同じ舞台で歌を歌うのだ。
緊張も度を越して、胸がムカムカしてきたくらいだ。
「ソンギュ、」
座り込んでスーハースーハー息を吸い込んで、どうにか落ち着かせようと頑張っているとヒチョルヒョンが同じく座り込んで、顔を覗き込んできた。
「なんですか…?」
目線を合わせると、どんどん近づいてくるヒチョルヒョンに、え?え??って混乱しているとオレの視界には、目を瞑ったヒチョルヒョンでいっぱいになった。
「っ!!!」
角度を変えて舌がニュルリと入ってきた所で、頭がこの状況を理解して、思わず身体を引くと思い切り後ろの壁に頭をしこたま打った。
「〜〜っ!!!」
「おい、大丈夫か?」
頭を優しく撫でてくれるのは、嬉しいけど、
この状況を作ったのはアンタだよ!??
「なにそんなに気持ちよかった?」
「な、な!!!」
ニヤッと笑いながら唇をなぞられて、顔が真っ赤になる。
『スタンバイお願いします〜』
からかわないで下さい!って文句言ってやろうと立ちあがると、いいタイミングでスタッフさんに声をかけられて、言いかけた口はワナワナ震えるだけ。
「終わったら続きしてやるからな」
セットして貰った頭をワシャワシャされた事も文句言いたいし、今の発言もツッコミたいが、今はそれよりステージだ。
「ソンギュ〜、さっさと来い〜」
人の気も知らないで、どんどん先を行く背中を追いかけた。
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