いんぴに本文3
□22.躊躇う
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【22.躊躇う】
なんだよ…あれ…
「ソンギュヒョン?どうしたんですか?」
ソンジョンに声をかけられて肩がビクリと跳ねる。まさか後ろにいるとは思ってなかったから余計に驚く。
「な、なに」
「ボクお風呂上がったんで次どうぞ」
「あぁ…」
ソンジョンの顔を見ないように席を立って、風呂場に急いだ。
「あぁ〜…もう…」
なんだよ…カッコよすぎだろ…
そのままでもカッコいいのに、髪を染めて更にカッコよくなるなんて…
カッコよすぎて、まともにソンジョンの顔も見れないなんて…
*
「上がったぞぉ〜…って、誰もいないし…あぁもう!テレビ点けっぱな…」
テレビを消そうと近づけば、ソファーにはソンジョンが眠っていた。
「な、…お、おい…」
「ん…」
肩を揺さぶってみたけど、眉を寄せるだけだ。
…マジでカッコいいな…
「ソンジョン…」
まだシトッとしている髪を撫でつければ、スリスリとすり寄ってきた。
「っ…」
引っ張られるようにソンジョンの顔にどんどんとオレの顔が近づいて行く。
モゾ、とソンジョンが動いて自分が何をしているのかと気づいて、バっ!と離れた。
あ、あと数センチで、…オレ、ソンジョンと…
顔に熱が集まるのがわかって、テレビを消して近くに落ちてたタオルケットをバサリとソンジョンにかけて、部屋に慌てて戻った。
慌てたような足音がパタリと部屋の中に消えて、パチリと目を開ける。
「あ〜ぁ、後もう少しだったのになぁ〜」
髪の毛染めてからのソンギュヒョンのあの感じに、イケるなと思ったのに…
ソンギュヒョンったら、恥ずかしがり屋なの忘れてた。
「これは、ボクから行くしかないかぁ〜」
ふわぁ〜、と大雑把にかけられたタオルケットをきちんと畳んでちゃんとリビングの明かりを消した。
さぁ、部屋に戻ったらこれからソンギュヒョンからどう告白させようか考えようかな。
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