びとび本文
□後1時間
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「なぁ、ほんとこんな所から見えんの?」
「いいからついて来いって」
でも、結構歩いてるぜ?
そう…かれこれ20分位。
オレの身体も限界を迎えそうで、さっきからぜぇぜぇと変な息の仕方。オレも歳とったな。
「なぁ、ドゥジュナ。疲れた」
「はぁ…」
あ、ため息つかれた…怒ったかな?
腰に手を当てて、オレを緩やかな坂の上からしばらく見て、またため息をついた!とひとりショックを受けてたらオレの目の前でしゃがんだ。
「え?」
「ん。乗れよ。」
「え、え、いいよ!疲れたって言っても歩けないとは言ってないだろ」
「疲れたんだろ?いいよ、もう少しだから」
乗れって半場強引におんぶされて、緩やかな坂を上って行くドゥジュン。
緩やかっていっても坂は坂。
しかも、男ひとりをおんぶしての坂だ。
スポーツ少年のドゥジュンでも、吐く息が荒いし額には汗も流れてる。
「なぁ、ドゥジュナ、もういいよ。降ろして?」
足をバタバタさせてみても「暴れんな」って怒られるだけ。
結局目的地についちゃった。
「あ、ありがと」
倒木の上に座って顔を上げれば開けた場所で、これはキレイな花火が見れそうだ。
「お前よくこんな所知ってんね」
誰かと来た事あんのかなって考えて、過去の事は考えないようにするって決めたのに勝手に寂しくなって俯いてしまう。
でも、そんなオレの事を知ってか知らずか、ドゥジュンはオレの頭をポンポン叩いて恥ずかしそうに言った。
「静かに見たくて、色々探したんだよ」
「……」
「なんだよ、あんま見んなよ」
恥ずかしそうにそっぽを向いたけど、耳まで真っ赤。多分オレも真っ赤だろうけど。
「…ドゥジュナってオレの事相当好きだよな…」
よくヨソプにからかわえて、そんな事を言われるけどあんまり理解出来なかった。
だって、愛してるもあんまり言わない人だから結構「愛されてんのかな…」って思ってた。
けど、今日のでヨソプの言いたかった事わかったよ。
「今さらわかったのかよ」
恥ずかしそうな顔が近付いてきて、ここが外だって事も鳥が首を傾げて見てるのも気にしないで静かに目を瞑った。
花火まで後1時間。
それまでなにする?
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