頂き物

□ハロー、街角エトランゼ
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『ハロー、街角エトランゼ』


「うひょなー」
俺より二つ上のソンギュヒョンはドアからぴょこんと顔を覗かした。頬を少し紅に染めて。可愛い、乙女みたい。
「どうしたの」可愛いなんて言ったら拗ねそうだから平静を装う。心中はそうではないけど。
ソンギュヒョンは「ん」と紙を俺に押し付ける。
最近できたらしいカフェのチラシ。どうやらヒョンはカフェに行きたいみたいだった。
「ケーキ食べたいからさ、うひょなも行かね?」
「是非とも」
「やった!じゃあ、放課後なっ」
ご機嫌なソンギュヒョンを見送って、小さくガッツポーズ。完璧にデートじゃないか!被害妄想でもいいから、デートという事にしよう。
「ウヒョニヒョン、顔」
「え?」
「気持ち悪い」
「ミョンス!」
盛大に顔を歪めたミョンスに酷いこと言われた。
「そんな子に育てた覚えはありません!」
「育てられた事ないけどね」
俺はミョンスに勝てないらしい。ズバズバ言い過ぎて、心が持たないよ。
放課後ヒョンに癒されようか、なんて考えながら 机に突っ伏した。

カフェはこじんまりとしてクラシックが流れていて、お客さんもポツポツいた。白を基調としたカフェはソンギュヒョンが好きそうだった。
ちなみにオススメはケーキセットでヒョンはそれを、俺はコーヒーとチョコケーキ。
「美味しい?」
「うんっ」
細い目がもっと細くなるぐらいに笑う。余程嬉しいらしい。
まぁ、ヒョンもダイエットしてるから甘いものも食べたいよね。
俺は食べてるヒョンが好きだから嬉しい。無理して痩せないで。もっとムチムチしてても良いのに。
「うひょなのも頂戴」
俺のもあげるから、そう言って差し出されたチーズケーキ。
「ヒョンって分からないのかな?」
「なに…うひょな?」
グイッとソンギュヒョンの腕を引っ張って、唇を合わせた。驚いた顔、じわじわと紅に染まっていく頬。あ、ゾクゾクする。
「甘い、ね」
チーズケーキの味したよ。なんて笑う。
でも、甘いのはケーキだけじゃないでしょ?
「へ…変態…」
「あはっ、もう一回したげようか?」
「い、いいっ!」
ソンギュヒョンはそっぽを向いて、ちまちまと食べ始めた。ついでに俺のもあげた。ご機嫌直しのために。

「うひょな…」
制服の袖を軽く引っ張って、上目使いで見る。時々思うけど、この人は計画して甘えるんじゃないかな。(だって、さっきは俺の奢りになったから)
「家、来る?」
イジイジと弄る手が可愛い。相当恥ずかしいみたいで「早く返事!」と怒られた。
そりゃあ、勿論…
「行きます!」
可愛いヒョンのお誘いだもの。断るわけありません。
「一緒に寝ようね」
「え…」
「俺が奢ったし…いいでしょ?」
「っ、馬鹿、」
涙目になるのはズルいと思う。俺の理性が保てないじゃん。
「好きにして…」
上目使いでほんのりと桃色で。
「ーーっっ!」
ドストライクだよ、ソンギュヒョン!

お題サイト:「依存」様より。

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