えくそ5
□67.縋る
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最近別の仕事で忙しいギョンスヒョン。
遅くまで練習室にいるオレよりも帰って来るのが遅い。
「ただいま」
珍しい!
まだ日を跨ぐ前にギョンスヒョンが帰って来るなんて!!
パタパタとヒョンを玄関まで迎えに行くと、ビックリしたようなギョンスヒョン。
「え、ジョンイナまだ起きてたの?」
喜んでくれると思ったのに、ヒョンは「早く寝ないとダメでしょう?」って頭をポンポン叩くとさっさとお風呂へ入ってしまった。
「……」
シャワーの音をしばらく聞いて、リビングのソファーに座った。
「あれ…ジョンイナまだ起きてたの?」
「あ、…ヒョン…うん…」
なんか、思ってたのと違うなぁ…
もっと喜んでくれると思ったのに。
知ってた?会話するのも久しぶりなんだよ?ギョンスヒョン。
「寝ないと、明日も朝から練習だよ?」
「うん…うん…」
「ジョンイナ?」
頭を拭きながら隣に座ったギョンスヒョンの腕に縋るように抱き着けば、拭いていた手を止めて「どうしたの?」とはじめて目があった。
「…ヒョン、忙しい?」
「うん?うん、まぁ忙しいね」
「…疲れた?」
「…うん…」
ヒョンに何を言えばいいかわからなくて、そのまま黙っているとギョンスヒョンは縋っていたオレの手を解いて、抱き締めて触れるだけのキスをしてきた。
「ふふ、癒された」
「…え?」
「ん、ジョンイナなんか甘い」
「んむっ、あ、…ヒョンが帰る前にイチゴみるく飲んだ…んっ、」
「疲れた身体にはやっぱり糖分だよね」
最後にチュッとキスされて、部屋連れてこられた。
スるんだろうなぁとぼんやりと思っていたらヒョンは「おやすみ」って言って、自分の部屋へ入って行こうとしている。
「ヒョン?」
「ん?」
「え、あ、…」
ポカンとしていると、ニヤリと口角を上げたギョンスヒョンに壁に縫い付けられてさっきまでの可愛いキスとは違う深く口づけてきた。
「んぁっ、んんっ、」
舌が絡み合って廊下にクチュリと響いた。
酸素がなくなった頃にようやく離れたギョンスヒョンは、頬をスルリと撫でて耳打ちして自分の部屋へと入っていった。
「明日いっぱいしてあげるね」