こばなし(その他)
□32.染める
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【32.染める】
「ねぇ、本当にいいの?」
コクリ、と動いた頭を撫でてカラー剤を毛先から塗っていく。
少し匂いがキツイのか、鏡に映るテグンの顔はしかめっ面だ。
我慢してね〜って声をかけながらも、集中。
にしても、突然「髪の毛染めて」って箱を渡されたのはビックリしたなぁ。
今まで自然な黒髪だったから、髪染めるの嫌なんだなぁって勝手に考えていたし、似合っていたから気にもしてなかったけど。
「なんかヒリヒリする…」
「ホント?!あぁ〜でも我慢して?」
まんべんなく塗れたし、後は少し放置するだけ。エコの為にビニール袋を切って頭に被せてテグンを見る。
「…ぶふっ!…いた!ごめん!可愛いよ?!…ってダメ!それ死んじゃうから!!置きなさい!」
頭インド人みたいになってるテグンなんて貴重だったわぁ…くふふ。
*
「ハギョナ…熱い…痛い…臭い…」
「もうそろそろ、…うん。いいね!」
テグンをお風呂場に連れて行って、ビニール袋をゆっくり取る。
シャワーをかけて、カラー剤を落として
シャンプーして付属品の美容液を付けてドライヤー。
う〜ん、焦げ茶かなぁ?
テグンが持ってきたカラー剤の絵はもう少し明るい感じだったんだけど。
「テグナ…テグナ?寝てる?」
「お、きてる…」
鏡越しでもわかるよ。目ショボショボなの。
「ねぇ、色。こんな感じになったけど、どぉ?」
ダメ!!とか言われたら、ショックだけど
はじめて髪染めて自分のなりたかったモノじゃなかった時のガッカリ感は、知っているから受け入れるつもり。でもテグンはコクリと頭を動かすだけ。
「え?いいって事?でも暗すぎない?いや、でもテグンは暗い色も似合ってるけど、…」
いかにテグンが黒髪が似合っていたか力説していたら、後ろを向いていたテグンがコチラを向いて「これでいい」って頭を振った。
「いいの?いや、可愛いけどさ」
「いい」
どこか頬を染めているのは、照れてるんだなとこの時は勝手に解釈していた。
「ねぇ!ねぇ!ハギョニヒョン!テグンヒョン髪染めたんですね!」
「あぁ、うん。オレがやってあげたの」
そう言えば、途端にニヤニヤ顔になるヒョギに?マークを浮かべるオレにニヤニヤしながら耳打ちされた真実。
「ハギョニヒョンとこの前雑誌見ながら誰がどんな髪色似合うか話してたじゃないですか」
「うん?うん」
「「テグンは茶髪も似合うかもねぇ」って言ってたの聞いてたんですよ」
「…は?それがど、…っ!!ちょ、ちょっとテ、テグナ!!」
話がある!って部屋に行けば、可愛くちょっと暗めの茶髪のテグナが見上げてきた。
「ヒョギ、髪染めるやつって何処で売ってるの」
「髪染めるんですか?なんで??(グイグイ)」
「あの、…その////」