こばなし(その他)
□50.振り払う
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【50.振り払う】
「やめろ」
いつもの様にエンが抱き着いてきたんだろうと、振り払った手。
いつもなら「もぉ〜照れちゃって〜」とかアホみたいな声が聞こえないから後ろを見れば、固まっているラビ。
「ご、ごめんなさい…」
から笑いしながらリビングから出て行ってしまった…
「ラ、ラビ…」
「あぁ〜可哀想〜なラビ〜」
一部始終見ていたんだろう。エンがニヤニヤしながら隣に座る。
「謝ってくれば?」
「…う、ん…」
ニヤニヤ顔から急に優しい顔になって、背中を押されてオレはラビの部屋の中前に立っていた。
緊張する…いつもなら外までダダ漏れで音楽が聞こえてくるのに、部屋の中からは何も聞こえない。
ね、寝ちゃったのかな…いや、でも…
チラリと後ろを向けば、ファイト!と口をパクパク動かしているエン。
よし!と意を決して固く閉ざされたドアをノック。……返事がない…え、やっぱり寝た?
カチャリとドアを開ければ中は真っ暗。
ドアを閉めれば、さらに暗くなって見えない。
部屋の構造はわかっているけど、何があるかわからないからしゃがんでラビを探す。
「あ、」
手に当たった背中。
やっぱり布団に潜ってるみたいだ。
少し慣れてきた目で確かめれば、耳にはイヤフォン。…気付いてない、ってわけじゃないんだな…今だって肩に手を置いているんだから。
(それともやっぱり寝ている?)
「ラビ…?」
頭を撫でれば、パシリと振り払われた…
…結構ショックだな…これ…
「ごめん、ラビ…ごめん、」
振り払われるのを覚悟にギュゥ、と背中から抱き締めればモゾモゾと動いて腕を解かれた…
そ、そんなに怒っているの…?
いつもの笑顔で許してくれると思ったオレが甘かったのか…
「ラ、ラビ…ごめん、ごめっ」
「もういいから」
「…い、いって…」
いいって、どうゆう事?
混乱する頭の中は、「もういいから」がグルグル回ってジワジワと涙が出てくる。
「レオヒョン…って、え?!え?な、なんで泣いて…!」
「うっ、…ご、めんなさ、」
ヒョン泣かないで〜!ってラビに涙を拭われながら抱き締められた。
「ごめん、意地悪しすぎたね」
「…イジワル…?」
「…オレ結構ショック受けたから…オレの気持ちわかって欲しいなぁと思って、ね」
普段こんな事されたら怒る所だけど、
今日はオレが悪いから…謝罪の意味も込めてほっぺたにチュ、とキスしてやった。
「(うほ!ヒョンからのポポ!!)オレもごめんなさい。ヒョン、スキンシップ苦手じゃん…いきなり抱き着いて、」
「ううん、大丈夫…がんばるから…(耐性をつけなきゃ…)」
「頑張る???」
オレとのスキンシップに慣れるように努力してくれるのかな!と喜んだラビは、次の日すぐにもう頑張らなくていい!!と言ったそうな…。
〜次の日〜
エン「レ〜オ!」
ケン「あれ?レオヒョン今日はエンヒョンからのハグ逃げないんですね」
レオ「…(コクリ)」
エン「えへへ、かわい〜い〜」
ホン「じゃぁ、オレもぉ!」
ケン「オレも!オレも!!」
ヒョ「ボクも〜」
レオ「…(ガマン、ガマン)」
ラビ「ぎゃぁ!ナニこの塊!!レオヒョンなんでされるがまま……は!もしかしてこれが頑張る?!レオヒョン!イヤな時は、イヤって言わなきゃダメ!!…っていうかお前ら離せ〜!!」
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