てんたぷ本文
□エンジェル
1ページ/2ページ
宿舎に帰ってみんなそれぞれ思い思いに過ごしている中、ニエルが台所でコソコソなんかしている。気になって後ろから話し掛けるとよほどビックリしたのか、すごい悲鳴が…キャー!!って…女の子かっ!
「キャーって、うるさっ!まったくなにして…ん?…はぁ〜ん」
「うっ…」
ニエルもビックリしただろうけど、オレもその悲鳴にビックリして思わずバシッと手が出てしまった。叩かれた所を擦っているニエルの手が止まったのは、後ろに隠したものが見られたから…、ケーキ…を作ってたのか…
「…ふぅ〜ん、明後日、誕生日だもんなぁ」
「…ヒョン、」
「いいねぇ〜片想いの彼にケーキを焼くなんて、青春だねぇ〜」
「〜っ!ヒョン!」
わざわざ、片想いの相手が出掛けてる日にこっそり練習してたのか…、オレにバレて耳まで真っ赤にして…睨んでるつもりなのかヒョン!って言いながらキッとこっちを見ているけどそれって全然効果ないよ。
「ふっ、可愛いねぇ〜」
「もぅ!ヒョン、誰にも言わないでねっ?」
「なんで?チャニの為にケーキ作ってるんでしょ?」
「ちょっ!だから言わないでてっばぁ!!」
「ははっ、いつからオトメンになったんだ?w」
ニエルのふわふわの髪の毛を撫でて、からかっているとビックリさせたいのーっと顔を真っ赤にさせながら笑う…
「ふぅ〜ん…」
「ねぇ、ヒョン味見してみてよ」
「えっ、」
「自分以外の意見が聞きたくてさ〜あっ、今ダイエット中?」
ーーちくしょう!「ちゅう」の口が可愛すぎるだろう!しかも小首まで傾げて!って危ないチャンジョみたくなっちゃった…別にダイエット中じゃないけど、チャニの為ってのがムカつく…
「…いいよ、試食したげる」
「ほんとっ?!やった!待って〜今切るから」
さっき隠したケーキを後ろからサッと出して切り出して、小皿に盛ってくれた
「イチゴのケーキなんだぁ」
「へぇ!以外とちゃんと作れてるじゃんか」
さっきは、サッと隠されたからよく見えなかったけど、ニエルが切ってくれたケーキは、お世辞でもなく良く出来ていた。見るからにスポンジは、ふわふわ。クリームもキレイに塗られている。イチゴは、水飴で薄くコーティングしたらしいものを細かくして散りばめられていた。
こんな上手に出来るまで何度作ったのだろう…
「ニエルが食べさせてよ」
「はっ?!や、やだよ!自分で食べなよ!」
「食べさせてくれないとチャニに言うぞ?」
「うっ…ずるい…もぅ仕方ないなぁ…」
文句を言いながらも小さなフォークでケーキを切り分けて口まで運んでくれた。
「あ〜ん、…どぅ?」
「ん!美味しい!」
「本当っ?!」
「クリーム甘すぎないし、スポンジふわふわで、イチゴも美味しい!」
誉めすぎだよぉ〜とニコニコ笑うニエルは、可愛いけどその笑顔は、ただ一人の為に向けられているんだよな…
「んふふ〜」
「本当に美味しいよ…コレならチャニも喜んで食べるよ(まぁ、不味くても食べるだろうけどね)」
「そうかなぁ…はい、ヒョン、あ〜」
こんなに美味しいのに自信がないのは、まだチャニに気持ちを伝えていないからだろう。
さっさと伝えればいいのに…良い結果しか生まれないのにな…
「自信持てって、なっ?(なに慰めてるんだか)」
「ヒョンありがと…」
「(あっ…)ニエル、こっち向いて?」
「うん?なに、…んっ?!」
ニエルをこっちに向かせて顎をクイッと上げてチュッと軽く唇にキスする。ビックリして吃りまくりなニエルの後ろからチャニが飛び出してきて、ニエルは更に混乱していた……笑える。
「おい!お前なにしてっ…!!!」
「なっ…!えっ?!チョ、チョンジヒョン?!」
「ふふっ、別にスキンシップだろ?」
「スキンシップだと?!」
俺の言葉が更に頭にきたらしい…今は、キッチンに入ってきたチャニに胸ぐらを掴まれていたけど、ニエルがチャニの腕を掴んで必死に止めに入っていた。
「ヒョン!やめてよ!ちょっとだけだし!ヒョンとは、初めてなわけでもないんだし!」
「初めてじゃないって、前にもエルジョとしたのか?!」
「えっ?!違っ!番組の!ゲームで!!」
「…ぷっ、はははっ!!」
突然笑い出した俺にチャニもニエルもキョトンとしていて…コントみたいな掛け合いして、あぁ〜可愛いっ…
「なっ、なんだよ、急に笑いだして…」
「はぁ〜、腹痛い…はは、後はお2人でとうぞ?」
「お2人でって、…」
そっとニエルに頑張れよって囁いたら顔を真っ赤にさせた。出ていく時にチラッとチャニを見たら囁きは聞こえなかったようだが、ギッっと俺を睨んでいる…だからお前も頑張れって…。
俺が出るとキッチンからは、ボソボソと2人の会話が聞こえる…これで今までの関係よりグッと近づくだろう。
もう、正直焦れったいから付き合って欲しいんだけど…はぁ、俺ってば本当何してんだろ…。あれか、好きな子には幸せになって欲しい〜とかそんな感じか…マジ俺、恋のキューピッドならぬエンジェルじゃん!
本当後で、チャニになんか奢らせよ……まぁ、最後にチャニより先にニエルとキス出来たから失恋の代償としようかな…とりあえず、お酒とティッシュを持ってミンスヒョンの所に行こうっと。
.