てんたぷ本文
□ときめき
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取り立てて、急ぎの用もなくダラダラと寝て過ごしたオフの日。もうすぐ3時みたいだ…お昼ご飯のカップラーメンも消化され小腹が空いてきた。
「なんか食べたい…」
自室からリビングへパタパタと移動するが、やけに静かだな…?いつもならマンネ組の賑やかな声が聞こえるのだが、聞こえない。
「誰もいない…はぁ…」
出掛けるのは、構わないけどさぁ…起こせよ!誘えよ!!帰ってきたら覚えてろよ!!!と、寂しさを覚えつつキッチンへ行ってガサガサと戸棚、冷蔵庫を漁る。
「…なぁんもない…」
マジか…みんなもいない…ご飯もお菓子もない…やばいちょっと悲しくなって来た…ため息をつきながらリビングのソファーにドカりと座った。たまに一人になるとなんでもない事も寂しさを感じてしまうようになってしまった…はぁ、もう歳かなぁ…視線を正面の真っ暗なテレビ画面から横のソファーに移すと、ソファーから頭が出ている事に気づいた。
「わっ!なに、誰だよ…」
誰もいないと思ってたから結構ビックリして、大きな声が出たのに頭の持ち主は、ピクリともしない。…寝てるのか?…それとも腹が減りすぎて倒れてるのか?!(…それは、ないか)
「おーい?だいじょうぶかぁ?」
ソファーの影を除き混むと、そこには気持ち良さそうに寝息をたてるニエルがいた。
「…ニエラ?…寝てるのか…??」
この弟も置いてきぼりにあったのだろうか、お日様に当たって、気持ちのいい風が吹く窓際で、スースーと眠っている。
なにか楽しい夢でも見てるのか、人より少し(いや、かなり)分厚い唇が弧を描いてる。ほっぺをツンツン押すと眉間にシワがよって、う〜んと声がもれた。ストレス解消にと、思ったが段々楽しくなってきてクスクス笑いながら暫くツンツン押していた。
さっきまで、小腹が空いて、誰もいないと思ってイライラしていたのに…寝ている弟にイタズラしているだけで、解消されるなんてなぁ…今もオレにほっぺをツンツンされて、うーとかむーとか声を出しているこの弟が突然可哀想になってきた。
「ふふっ、ごめん…気持ち良さそうに寝ていたのにな…」
謝罪の意味を込めて、ほっぺをスリスリと撫でると、眉間のシワが途端にとれて、ふわっと、微笑んだ。
「っ…!!」
な、なに…?!笑っているニエルなんて、いつも見ているのに…ドキドキと心臓が音を出すし、どんどん顔に熱が集中してくる…なに、どうした?!病気??!
軽くパニクるオレの撫でる手が止まると、もっと、と言うようにニエルが手にスリスリとすりよってくる。
「ん〜、…ヒョン、」
「なっ…!」
な、なんなんだ…オレどうしたんだ…顔が熱い…ニエルから目が離せない…、なんだろ…ポッポしたくなってきた…オレ寂しくなりすぎたのかな?と苦笑しつつ、ポッポは日常茶飯事と心の中で誰かに説明しながら、顔を近づけた瞬間リビングのドアが突然ガチャと開いた。
り「たっだいまー!」
ち「おい!リッキーお前も荷物持てよ!」
け「あれ?チョンジ起きてたのか?」
え「起きてたー?ゴメンねー起こしても起きなかったから、オレ達だけで、買い出しに行ってきたよー」
食べるもの何もなかったでしょう?とエルジョの話す言葉にコクコク頷きながらも心臓がバクバクで焦っていた。
「あれ、ニエルは?」
「えっ、ニ、ニエルならココに…」
「あはっ、本当だ…なぁんだ、可哀想だから残るーって言ってたんだけど、自分も寝ちゃったのか」
フニフニと、ニエルのほっぺを摘まみながらエルジョが発した言葉に驚く。
「えっ、ニエルわざわざ残ってくれたのか?」
「うん。起きて誰も居ないのは、寂しいだろうから残るーってね、…愛されてるねぇ」
ニヤニヤ笑いながら肩をポンポン叩かれて、寝込みは襲うなよと、呟いてキッチンへと行ってしまった…エルジョさん…さっきポッポしようとしてたの、見てたのか…
視線をニエルに戻して…これは、寝込みを襲っているわけではない…ポッポすれば、さっきの胸の動悸の意味もはっきりすると思うんだ…ほっぺを包み込んで、じっと見つめる。
胸の動悸がまた鳴り出した。
きっとこのポッポで、わかるはずだ。
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