てんたぷ本文
□20.思い出す
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【20.思い出す】
「あ、コレ…」
部屋を掃除中に見つけたのは、チョンジヒョンから貰った…というか、借りっぱなしのマフラー。
寒くて寒くて仕方がなかったのに、
コートだけ羽織ってたオレに「メインボーカルが風邪引いたらどうすんの!」ってマフラーでグルグル巻きにされた。
なかなか返すタイミングがなくて、返せてなかったんだった。
もう仕事に行く時間だし、ちょうどいい。
チョンジヒョンに返そう。
洗ってないけど…一応、ファブリーズ…いいか。
部屋を出れば、ちょうどチョンジヒョンが靴を履いていた。
「ヒョン、コレ…」
「ん?あ、ニエル寒いからちゃんとマフラー…ってエライ、エライ、」
オレの手からマフラーを取って、ぐるぐる巻きにされた。
「いいマフラーだな!」
頭をくしゃくしゃに撫でられて、「ほら、行くぞ!」って出て行っちゃった…。
「…覚えてないのかな…ボケ?」
「覚えてるのに決まってんじゃん」
隣を見れば靴を履くエルジョヒョン。
「わざとだよ。耳真っ赤だったじゃん」
「え…」
「あいつも恥ずかしがり屋だからなぁ」ってまた頭をくしゃくしゃに撫でられて行っちゃった…。
「あ…」
何回も頭を撫でられて思い出した。
あの時も同じようにマフラーで、ぐるぐる巻きにされて頭をくしゃくしゃに撫でられて、目を瞑っていたら、…チュっとキスされたんだった。
あれがチョンジヒョンとの初チュー…
「あれ?ニエルヒョン?どうしたの?顔がマフラーみたいに真っ赤だよ?」
「…いらない事まで思い出しちゃった…////」
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