びえび本文

□お前がいれば
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な、なにコレっ…!

オレというものがありながらっ!!

宿舎内の掃除中
ヨングクの部屋もついでにと掃除していて発見したのは、エロいDVD数本


「お、男だもん持ってるさ…」


若干声が震えているのは気のせいだ

プルプル震える手で裏返して裏表紙を見ると

それはまぁ、豊満なボディな女性が
あられもない恰好で写っている

もう一本は、ナース姿の女性が診察台の上で…


震える手で元あった場所に戻す

お、落ち着こう…

そうだコーヒーでも飲もう…


リビングに行くとジェノンとジョンオプが
テレビを見ていた


「あ、ヒョンお菓子食べる?」

「いらない…」

「?ヒムチャニヒョンなんかテンション低いね」

「そうだな。なんかあったのかな?」


弟たちがコソコソ話してる声なんて聞こえなくて、お湯を沸かしてインスタントの粉を用意する


オレだってヨングクと付き合う前は持っていたよ。でも、好きになってヨングクだけってなったら全部捨ててた。

同じ事をして欲しいとは思わないけど、
思いのほか持っていた事実にショックを受けていた

やっぱり心のどっかでは女の人がいいのかな…

…やばい泣きそう……


「ヒム?」


結構ボーっとしていたらしく、ヨングクに肩を叩かれて初めて傍にいる事に気づいた


「びっくり、した…なに、どうしたの…」

「ん?いや話しかけても返事しないから立って寝てんのかと思って」


するりと腰に回ってくる手にさっき見たDVDが思い出されて、胸のあたりがモヤモヤしてくる


「本当にどうした?」


黙りこくったオレに風邪でも引いたか?って
おでこに手を当てきた


「大丈夫…コーヒー飲む?」

「あぁ、うん」


ヨングクの腕を解いてお揃いのカップを取り出そうと棚から出した瞬間手から滑り落ちていったオレのマグカップがガチャンと音を立てて壊れてしまった

咄嗟に拾おうとしゃがんだらヨングクに抱き起こされた


「ヒムっ!危ないだろう!」


オレがやるからホウキとチリトリ持ってきて!って言われて、素直に持ってくればいいのにさっきのDVDのショックを引きずって、ヨングクに邪魔だからあっちいってろって言われたみたいで、ポロポロ涙が出てきた


「ヒム?早くホウキを…ヒム?!ど、どうした?どっかケガしたのか?!」

「どうしたのー?…え、ヒムチャニヒョン泣いてるの?!」


さっきの割れた音と、オレが泣いているという事に心配した弟たちが集まってきてキッチンは大混雑、大パニックだった。

なんで?どうして?って矢継ぎ早に聞かれて
居たたまれなくなって、側にいたジェノンを押し退けて部屋へダッシュで逃げた


……


「えっ?…」

ヒムチャンが泣き出したと思ったら部屋にダッシュでかけていった、次の瞬間弟たちからの避難の声


「ヨングクヒョンなにしたの?」

「ヒムチャニヒョンを泣かすなんて…」

「「さいってー」」

「おい!オレはなにもしてないぞ?!!」


何もしてないのに弟たちに最低!まで言われて泣きたくなってくる


「とりあえず、追いかけて事情聞いて謝ってきて下さいよヒョン」


いつの間にか割れたマグカップを片付けてくれてたジョンオプにそう言われて思い出した

ヒムチャンを追わなきゃな!(やっぱり悪いのはオレみたいだけど…)






コンコンっ、

カギがかかってないか心配だったけど、
カチャリとなんなく開いてくれてホッとした。


「ヒム?入るぞ…」


中に入るとベッドの布団がこんもりとしてる

子どもか…クスリと笑みが溢れたが笑ってる場合じゃなかったな


ギシリと音を立ててベッドに腰をかけると
布団がピクリと動いた


「ヒム?どうしたんだ?…なぁ、顔見せてくれよ」


布団を捲るとグシャグシャな顔のヒムチャンがいて胸が苦しくなった


「本当にどうしたんだ?オレがなんかしたんなら謝るから言ってくれ」


涙を親指で拭ってやると嗚咽まじりに話し出した


「グクは、悪くなっ…オ、オレがっ…」

「ん?」

「部屋掃除して、たら、DVDがあって…」

「DVD?」

「エッチな、DVD…」

「はぁ?!」


思わず大きな声を出すとヒムチャンの肩がビクリと跳ねて慌てて謝ったけど、またポロポロ泣き出してしまった


「ゴ、ゴメンなさっ…」

「あぁ〜違うんだ!大きい声だしてゴメンな?怒ったわけじゃないんだ」


頭をワシワシ掻きながらヒムチャンの簡単な説明で推理する

えっーと、オレの部屋を掃除してたらDVDを発見して、…泣いた?

なんで…

あぁ、…ショックで、か。

自分に置き換えてみると案外簡単に推理できた

恋人が、ましてや同性同士の恋人が異性出演のエロいDVDを持ってたら、そらショックを受けるわな…


「ヒム、DVDはもう観てないんだ。その、…もう観なくても、オ、オレにはお前がいるし…ある事も忘れてたくらいだったし」


「ほ、ほんとっ…?」


恥ずかしいけど、これは素直に言わなきゃ解決しない。たぶん真っ赤になってる顔でヒムにそう言うと、やっと起き上がって抱き付いてきた


「ゴメンな?ショック受けたんだろ?」

「ん、…やっぱり女の人がいいのかなって思っちゃったら悲しくなって…落ち着こうと思ってコーヒー飲もうとしたら、お揃いのカップ壊れちゃって…」


いつかこんな風にオレたちの関係も壊れるのかなって思ったら泣き出してたそうだ

バカだなぁ…こんなにも好きなのに

普段あんまり言ってやらないから不安になるのかな…そう思うと今日は目一杯甘えさせてやろうと思う


「オレはお前だけだよ…なぁ、落ち着いたらマグカップ買いに行こう?」


まだ涙が残ってた目尻にキスするとやっと今日はじめての笑顔がみれた事にホッとした。




******


ヨ「ほら、ヨングクヒョンが悪いんじゃん」

デ「ねー!あっ、今日ヒョンに晩ごはん作ってもらおうよ」

ジ「いいですね!」

ゼ「それより美味しいもの食べにいこーよー」

デヨン「「焼き肉!!」」



デヨンヒョンは、(ひとくくりにするなっ!)
速攻でヒムチャニヒョンに電話してました。
byジョンオプ




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