眠らぬ街のシンデレラ
□北大路皐月#1
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【皐月さん(眠らぬ街のシンデレラ)】
まるで小鳥の雛を手のひらで暖めるように、わずかに震える私を優しく包み込む皐月さん。
「優衣さん」
「皐月さん…」
ベッドの上、縫い止めるように両手を両手に絡め、蔦が複雑に交わるが如く巻き付いてくる脚が艶を産む。
そっとまぶたに口づけられ、必然的に目を閉じる。
皐月さんの唇は静かに降り、私の唇をゆっくりと開く。
やわらかく睦み合うように折り重なり、絡み、吸い付き、味わいながら丹念に奥深くにいざなう皐月さんの舌。
「………ぅ…ンぅン…」
しっとりとした、天鵞絨のような肌がかすかに見える。意外なほど逞しい胸部。肉厚な板に小さな突起が見える。私は皐月さんのシャツから見え隠れするそこに、手を伸ばした。
「ぅん?」
優しい皐月さんの問い。
「優衣さん、何してるのですか」
「…」
「優衣がしたいことをしてあげようか」
皐月さんはシャツを脱いだ。露わになる上半身は見事にくびれていて、屹立するような二の腕の隆起や肩の筋肉が日頃の鍛錬を物語っている。
見とれていると、皐月さんは私にまたがり、私のブラウスのボタンを一つ一つゆっくりと外した。軽く上体を起こし、たくしあげたキャミソールを抜き去る。そのままブラも外すと私の胸の先と皐月さんのそれを重ね合わせた。
「ぅん…」
小さく呼応した私のタイトスカートの中に入る皐月さんの手。
ストッキングを脱がしている。
そのまま、白いうちまたをなぞる指。
大きな体はすっぽりと私を包み込んで、片方の手は私のあごをとらえ、唇をあけさせつづける。
静かに絡む舌。
静かになぞる指。
「…くふん……ふ…ン…は、ぁ…皐月さん……」
皐月さんの指はパンティの隙間から私の秘部を熱く潤ませる。
丘からクレパスを割り、真珠をつまみ、指の腹で掘る。つっと滑降し、さらに深く複雑な場所へと進む。
ぴちゃ…くちゅ…
くぐもった音が溢れる蜜を伝えてくる。
「ぁ…恥ずかしいです…」
身をよじると耳朶を這う唇が甘噛みしてくる。鼓膜を嘗めるように舌が這い、私はつま先までつっぱらせ、鳴いた。
「ぁぁぁあ…ん…!ん!んっ!」
皐月さんは菊座に指をはわし、細かい襞を優しく愛撫する。
「ぅぅぅ…はぁ〜ン…っ」
緩んだ私の内側から太腿にかけて愛蜜が流れ、その感触にぶるっとお尻をふるわせる。
尖らせた腰で恥じらいながらも誘う。
揺らしたのを捕らえる皐月さんの手。ウエストをぐっとしぼられた。
「あ!」
大きく開かされた秘蜜の場所に、馬乗りになった皐月さんが入ってくる。最初の先端は怒り狂う蛇の鎌首にも似ている。
くびれまですぽんっとはまり、私の一番絞っている場所で腰を回された。
ぱん!ぱんぱん!
ウエストを支えながら、皐月さんの肉棒が出たり入ったりする。
「ああっ!やめてっ!や、やだ!やだあ…ぁ…、あ、あ、あ、きゃあぁ…ん、ん、ぅ…ぅン…は、…はぁ…ぁっ!」
絶叫する私の喘ぎ声で、私のへその辺りを抑える皐月さんの手が下がってきて挿入したまんま、蕾を愛撫してくる。
「う…ン、ぅンぅン……ぁ…ゃ…ン…気持ちいい…です……感じます……はぁ……〜…」
ゆっくり腰を使い、回すようにドリルで掘削するように奥へ奥へ進む皐月さんを襞でしっとりとくるみ、粘るように絞る。
「…まいったな…」
皐月さんの声がくぐもった。
「あなたは、脳にささるような絶頂を与えてくれるから…俺もそろそろ限界だ」
「来てぇ、皐月さん」
「…ばか」
乳房が両手で揉まれる。さきっぽをくりくりされた。
「はあ…ぁ…ぁ…!」
背中をなぞる舌、吐息で犯される。
「やあ、ンゃ!」
ぐっっと尻を割り、ぐぐっと入り、突き上げるようにピストンされ、
それよりも
(やっぱり、おっぱいさわられるの大好き…)
ウエストを捻ると、皐月さんのが抜けた。
「まだまだ未開発なんですね、あなたは」
皐月さんが乳首をふくんだ。
「こっちの方が気持ちいいのかな」
「ぅン!ぁ!」
乱れた私の膝を両腕で掲げ、大きく持ち上げると腰に乗せ切った皐月さんがおっぱいを吸いながら入れてくれた。
「……い…いっ…!」
ぷるぷるする蜜蕾をくちゅくちゅと優しくかわいがりながら、皐月さんが微笑む。
「早くオトナの女になりなさい。いかせてあげるから」
「ぅん……はぁ…」
とろんとしている私を何回もお花畑に導きながら、皐月さんは夜明けまで愛撫をやめなかった。
「気持ちい〜です……ぅ」
【貝あわせ(皐月・眠らぬ街のシンデレラ)】
皐月さんとお正月の話をしていたら
「うちに、こういうゲームがありますよ」と
貝をたくさん出してきた。
「はまぐりです」
片側ずつになっていて
ひっくり返すと
「わあ、きれい!」
平安時代のお姫様や貴族が描かれている。
「絵あわせというか
貝あわせの遊びです」
皐月さんが笑った。
「貝殻はどんなに似ていても同じ種類でも裏と表が合うのは、自分の片割れのみだと言われています」
「え、そうなんですか?」
試してみたら確かにお互いに引き合うようにしか合わさらない。
「世界でただ一つ、自分に合う人を引き合わせられるようにという
姫君たちの願いがこめられているんですよ」
「ロマンチックですね」
「そうですか?」
「はい」
皐月さんは、頷く私を抱きすくめた。
「では私は優衣さんと、
この貝殻の片割れのように
合わさってもよろしいのですね」
「さ、皐月さん////!」
焦った私に傷ついた顔をする皐月さん。
「漂着者扱いですか、
私が浮ついて遊んでいるように見えますか
それとも
あなたに弄ばれているのでしょうか?」
淋しそうな目をした皐月さんに慌てる。
「いいんですよ。
思春期には悩みましたよ。
自分が心から愛するひとが
本当に現れるのかと」
皐月さんが、貝殻を入れていた箱から
紙片を私に差し出した。
そこに書いてあった詩…。
「クラブシェル」
夏。海にいって貝殻を探す。砂浜に打ち上げられた無数の貝殻。2つそろわず、片方だけ。死してなお恋い焦がれるように、白日のもと、自らを晒して天を仰ぎ見る。
このつがいの隣にいて、ぴたりとあう魂はどこにいったのだろう。
そのひとはこの世界のどこに打ち上げられたのだろうか。
指先で裏返してはその模様を愛おしむ。
さざ波が寄せては返し寄せては返し、あなたを削り、あなたを変え、あなたが海の底にたどり着いたとしても
安寧せずに私は探す。
その魂の有り得るべき形を。
皐月さんが
悲しい微笑みを浮かべるので
私は慌て、
ギュウッと皐月さんを抱きしめる、と。
「…ン……っ!」
皐月さんが片手で私の顎を持ち、
口づけてきた。
「…っ…!」
私は皐月さんのシャツに
必死になってしがみつくけれど
血液がみんな一カ所に向かい、足の裏から崩れていく。
巧みで情熱的。
野獣のようなのにインテリジェンスを醸す口づけ。
甘い、というには
激しくて
私を荒れ狂う波で
いともたやすく
腕の奥へといざなってしまう。
「……ぅンァ〜っン〜〜〜ぁ……」
長い吐息を吸われ、立てなくなる私の付根に片手を添える。
「ここ」
「んっ!きゃっ…////」
「…はまぐり、ですよね」
「や、やだ////」
「合わさるのは一つの鍵だと信じていいのかな?」
皐月さんの微笑みが妖艶にかわる。
「俺しかいないと思っていいのか」
「…っ」
そのままソファーに押し倒される。
投げ出した脚の隙間を丹念に愛撫される。
「や……!」
「潮…噴いてるよ」
「ぁっ」
ちっちゃな突起をくりくりされ、
お尻をあげた瞬間、大きく開かされる。
「ふふ。
いい眺めです」
「や、やだ」
「綺麗な紅色に染まっていて、
薄い桃色のグラデーションが吐息のようです」
「…ぃ…ゃ……*」
「優衣のうちももの、柔らかいところがかわいいですね」
筆を出し、くすぐる。
「ゃっっっ!」
そっと撫でられ、足を閉じようとすると
縛り付けるように皐月さんが押さえる。
「優衣さん」
「…っ‡っ‡ぁっ‡あん‡あ‡いやっあー!」
「こりこりした貝柱だね」
「いや、いやです!やだ、やだ、やだ!」
皐月さんの指が私の突起を上を滑る。
「きゃあああああ*******」
「…液漏れしてる。
海みたいになってる。
潮の満ち引きでひらひらしてる」
「見ないでっ
やだ
恥ずかしい…!」
「優衣はこんなとこまで、かわいいからね。
誰もに見られる場所じゃなく、俺の独占できる部分だから。
こぢんまりしてるのに、ぷっくりしていて
閉じ気味で深い。
ひらひらが繊細で少し渦巻いている」
「////」
「ふふ。
優衣さんのことは隅々まで私のものです」
「や、やだ」
「おや、嫌われました」
悲しげに皐月さん。
「ここからは黙っていましょう。
秘すれば花です」
「…」
皐月さんは私の花びらをめくりあげ、大切なもので
深く突いてきた。
深く
強く
逞しく
息も出来ない私は声が出ない。
動かれるたび、粘液が蠢き
官能的な匂いが立ち込める。
「…っ…」
「…優衣っ…」
皐月さんに脳天まで貫かれ、震える私。
皐月さんは月の光のように煌々としている。
潮の満ち引きは
月に海が惹かれて生まれる。
私が貝ならば
あなたに魅せられ
うっとりと打ち上げられても惜しみはしない……。
私は涙を流し、あなたを水平線へ導く。
堕ちるように身を沈ませるあなたは
私の奥に光を放つ。
月に割れる貝のように
余韻に浸りながら
私は魂の片割れを探す。