愛らぶ男主
□その世界には何も#3
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「彼女が泊まりにくる」
と、言うと恐らく…
「するんだろ」
みたいに思われるだろう。
しかし、額面通り、彼女は泊まりにくるのだ。
タイミングを逃したわけではない。
俺は修学旅行や校外学習のように、真剣に勢いよくやってくる彼女が好きだ。
仕事をしていると休みはなかなかあわない。
だから、長く一緒にいるためには泊まるのが一番だ。
チャイムがなり、優衣さんがやってくる。
満面の笑顔だ。
変に恥ずかしがったりしない。見事な無邪気さ。
「こんにちは〜」
本日は、透ける素材のボレロに白いワンピース。
素足がまぶしい。
コルクっぽい編み込みのミュールを履いている。
「お邪魔します」
丁寧に頭を下げあう。
彼女はカゴに白いリボンのついたトートバッグを床におろし、
それから両手を広げた。
俺は彼女を抱き上げる。
肩にのしかかるように抱きつく優衣さん。
子供みたいだ。
そういうところがかなり好きだ。