ブン太長編

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あ〜まじありえねぇ。


なんで…なんで…




なんで好きな女に怪獣役やって叫びながら倒された(演技だけど!!)とこ見られなきゃなんねーんだよっ!


しかもなんで皆原が作った菓子をこいつら
(颯太と光太)が食ってんだよ。

しかも母さんまでバクバク食うなよ〜っ。




しかもしかも!!




「光希ねーちゃんのおかしおいしー!」




っとか言ってんじゃねぇよ!!光太!!

俺だってまだ名字で呼んでんのに…。
何先に名前呼びしてんだよ!!




しかもしかもしかも!!




「光希光希、またこれつくって」



ってちゃっかり皆原の隣をキープするなよ颯太!!

しかも光希って何だよ!!!光希って!!
なに俺より先に呼び捨てしてんだよ!!!

しかも俺に向かってあっかんべーするとはいい度胸だなぁコラ。



くそ〜っ!!なんなんだよ!!

せっかく…皆原が、お、俺んちに来たってのに…。



ま、まあメインはこいつらの迎えだろーけどさ…。




皆原の弟と妹かぁ…。



左隣には妹の奏が座ってる。

あ、よく見たらやっぱり皆原に似てる。
目とか。


「ブンたにーちゃん、光希ねーちゃんのおかし、おいしーでしょ?」


ニコニコと笑う奏はかわいい。


皆原もこんなんだったのかな〜まじやべぇ…。


皆原の隣に座る悠は今はなんか睨んでくるし。
な、なんでだよ…。


頭はぐるぐる回ってても、皆原がつくった菓子を食うと…。



パクン




あ〜やっぱうめぇ超幸せ。


無意識に頬がゆるんでたのか、向かいに座ってる皆原と目があうと、


くすっ、


と笑われたその笑顔もかわいくて、
また溶けそうになる。




その笑顔、殺傷能力あるだろぃ、絶対。





「まさかお向かいさんが丸井くんの家だとは思わなかったよ」
そう言って笑う皆原。




俺もだ。




こんな近くにいたなんてしかも弟が友達同士だときた。

こりゃ学校以外でも接点できたってことだよな?

運が良けりゃこれからもこんな風に皆原が俺んち来たりすんじゃねぇの?!



颯太マジ感謝。




---




「それじゃ、悠、奏、帰ろうか。」



パウンドケーキを食べ終わって、お皿を片づけるお手伝いをしながら、悠と奏に呼びかける。

そしたら、




「「「「ええーーーー!!」」」」




と、四人のブーイングが飛んできた。




「まだブンたにーちゃんとあそびたいー!」
「光希ねーちゃんもいっしょにあそぼうよー!」
「そうだよ!光希、いっしょにあそぼうぜ!」
「ねーちゃん!まだ颯太と遊ぶ!」



順番に、
奏、光太くん、颯太くん、悠 だ。



そう言われても、もう6時になるし、迷惑になるし・・・。


どうしよう・・・



「ほらほら、悠と奏は帰りな!また遊んでやっからよ」
「ほんと?ブンたにーちゃん!」
「ほんとほんと」
「・・・絶対だからな!!」
「おう、絶対な。だからねーちゃん困らすんじゃねぇぞ。返事は?」
「「はぁーい」」



丸井君は、しゃがんで、視線を合わせながら、二人を諭してくれた。

なんだか、こんな丸井君は新鮮だな。


お兄ちゃんの顔をしてる。





「光希ねーちゃん、またきてくれる?」
「うん。また遊びにくるよ」
「つぎはぜったいいっしょにあそぼうな!やくそくだからな!」
「うん、約束ね。」




私も、颯太くんと光太君に目線を合わせる。
颯太くんが差し出した小さな小指と私の小指を絡ませた。


「ゆーびきりげんまん、うーそついたらはりせんぼんのーます!!」



ゆーびきった!!といって、にこりと笑った。



笑顔が、丸井君そっくり。
きっと、丸井君が小さかった頃もこんな感じだったのかな。




---


「それじゃ、お邪魔しました。」
「「おじゃましましたー!」」



皆原がぺこん、と頭を下げて、奏と悠も同じようにした。


母さんが、

「またぜひ来てねー」


と言って、ニコニコしながら手を振っていた。




皆原のパウンドケーキの味もさることながら、
お茶しながらしゃべったので、皆原をとても気に入ったみたいだ。



まあ、皆原はかわいいし、受け答えもしっかりしてるし、
学校ではほわんとした感じだけど、弟たちの前では、しっかり姉の顔をしてるし、

私服を見たのは2回目だったけど、
清楚で控えめな、でも女の子らしいワンピースだったし。
超かわいいし。






「ブン太、光希ちゃんっていい子ねぇ」
「だろぃ?」



俺はココアのおかわりをついで、ごくんと飲んだ。


あー、甘くてうまい!








「好きなんでしょ」









「ぐ・・・!げほっげほっ、な、何だよ、それ・・・」




ココアが変なとこ入った。苦しい。いってぇ・・・


つか母さん!いきなり何言い出すんだよ!




「あら、あたり?やっぱりねぇ」
「な・・・・!ちがっ・・・、うわけじゃ、ない、けど・・・。」
「ほらぁ。母さんにもウソつけないくらい好きなのねぇ。」
「・・・」




返す言葉がない。
だって、皆原が、好きじゃない、とか。

嘘でも、言えねぇし、言いたく、ないじゃん。



しかも、ここでうそついても、言い逃れできないくらい、
今、俺の顔は真っ赤だろう。



顔が熱くてしょうがない。



皆原のことが、好きで好きでしょうがない。


---

(あのねーあのねーかあさん!おれも光希すきーー!)(思わぬライバル出現?!マジかよ・・・)
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