高杉誕生日祭

□7、俺の授業で寝てんじゃねぇよ
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7、俺の授業で寝てんじゃねぇよ



「でここのwhenは時の副詞節だから時制に注意して―――――」









受験英語の基礎から解説していると、目の前の生徒が見えない。



いくら背が低いからと言っても座ってりゃ少しぐらいは見える。







・・・・・?



少し教卓から身体を前のめりにして下を見ると。



色ペンを持ちながら真下を向いている雅がいた。



明らかに寝ているのがまる分かりだ。







「・・・雅」



呼んでみるが、返事はない。



よく授業中に熟睡なんざ出来るよな。



「雅、起きろ」



「すぅ〜」



可愛らしい寝息しか聞こえてこず、一向に起きる気配もない。







・・・・・。



呆れた俺は、教科書を教卓に置いて、雅の背後に回った。



セーラー服の首根っこを引っ張ってやると、苦しそうな声を上げて彼女は左右を見渡した。



「・・・あ、れ?」



「雅・・・」



「・・・きゃぁぁぁ!!」






後ろを振り返った途端に、まるで幽霊でも見たかのような声を上げた。



・・・失礼な奴。



「俺の授業で寝ようなんざいい度胸してんなァ?」



「ごめんなさいィィィ!!」



怯えて教科書を広げて頭に置き、隠れようとしている浅知恵に、



俺は笑うしかなかった。








「クククッ。後で準備室な」



「・・・はい」



しゅんと落ち込んで、彼女はまた教科書を机に置いて授業に戻った。



行動がなんて幼いんだろうと思う。



天然が故の行動だろう。



俺は顔にこそ表さなかったが、内心、かなり笑っていた。



もちろん、雅のあの行動に対して。






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