storyB
□眠り姫の温度
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「ん・・・っ・・・・・」
ゆっくりと目を開くけれども、閉じていた瞳に太陽の光はキツいらしく目が痛い。
それでも何とか目を擦りながら開くことは出来た。
「んあ・・・・・、朝?」
銀八は欠伸をしながら上半身を起こすと、クイッと服を引っ張られた。
正確に言うと、引っ張られたのではない。
初めから握られていたのだ。
「可愛いなぁ、トシくんは」
彼は自分の服を握っている張本人、自分の生徒である土方の頭を優しく撫でた。
土方は去年まで両親から虐待を受けていた過去がある。
銀八が引き取ってからも1人でいると思い出すらしく、
夜は一緒のベッドで寝ることにした。
彼が横にいることで、安心したようにスヤスヤと眠る土方は、18歳とは思えないほどのあどけない表情を曝す。
服の裾をギュッと持っている手が、普段の大きさよりもかなり小さく映り、可愛くて仕方がない。
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