ゆめ
□夕暮れの紅
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現在地、旦那のアパート。
私は貴方と他愛の無い話をする時間が一番幸せです。
夕暮れの紅
「ね、修ちゃん」
何気なくふと頭に浮かんだ言葉をそのまま発してみた。
「誰でぇ修ちゃんてのは」
当然名前を呼ばれた本人は驚くわけで。
私は敷かれた座布団に座り直し乍ら答えた。
「私の目の前に居る豪傑刑事さんのことです」
「俺ぁ木場修太郎だ」
目の前の厳つい刑事は、もともと厳つい顔に更に皺を刻みつつ云った。
「だって榎さんが言ってましたもん」
榎さんとはこの刑事の幼馴染(当人は腐れ縁といっているのだが)、榎木津礼二郎のこと。
私が現在お世話になっている人だ。
尤も、当の榎さんも何だか子供のような人で
どちらが"お世話になっている"のか分からないと思うが。