ゆめ

□嗤ってビスクドール!
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「これ、僕の」

そう無機質に言い放った奴の顔は、相も変わらず美しかった。(勿論私には及ばないが)僕の、と静かに所有物宣言されたものは、綾部くん、わたしは物じゃあないんだけどな と控え目に自己主張した。確か小松田もこうやって何かを諭されていたな。事務経験から云えば、彼の方が先輩の筈なのに。

「ねえ、聞いてるの、平」

鋭い視線が突き刺さる。新人事務員の胸に顔を擦り寄せ乍ら、色素の薄い瞳が私を視ていた。ああ凄い。睫毛まで灰色じゃないか。



べちん。


小気味よい音。綾部になぐられたのか。駄目じゃない綾部くんお友達に手を上げるなんて と、鈍感な彼女はなにもかも意味不明のまま。(いっそそれが一番の得策なのかもしれない)

「とにかく、これ僕のだから。近付かないでよね」

成る程要はさっきまで私と彼女が会話していたのが許せないのか。どこまで嫉妬深いのだろう。(というかお前、忍者の三禁はどうしたんだ!)

無表情なままもう一度へばり付いてきた忍たまをさも当然のように受け入れ乍ら じゃあね滝夜叉丸くん と新人事務員は笑顔で私に別れを告げた。







嗤ってビスクドール!
(想い人を前にして嗤いもしないとは、私はお前が解らんよ)









綾部はいっそぞっとするくらい機械的な子で。
因みに滝夜叉丸視点なのはあれです。趣味です。

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