君といた軌跡T

□episode 14
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***


サンジがMr.2に勝利した頃、Mr.4ペアと戦っていたウソップとチョッパーとまなもまた、危機に陥っていた。

「ア〜ッハッハ!バッ!このバッ!!おめェらの船長〜ォ?」

地面にいくつも掘られたモグラの穴から顔を出したミス・メリークリスマスはバカにしたようにウソップを嘲笑った。

モンキー・D・ルフィは社長(ボス)が自らの手で始末した、と。
殺されてしまっては海賊王もなにもあるまい、と。

ルフィの死を知らされたまな達は言葉を失う。

まさか…あのルフィが。
クロコダイルに敗れたというのか。

そんなの…

『……じ…ない…』
「あァ?」
『そんなの信じない!!』

鋭い声で、まなが叫ぶ。

『デタラメ言わないで!!』
「あん?何だい、そんなにショックかい?"船長"が死んで」
『死んでない!!!』
「「!!」」
『ルフィが死ぬわけない!!』
「……」
『…死ぬわけ…ないもん…っ』

胸を突き上げてくる気持ちで闇雲に涙が溢れてくる。

その姿を見て、

「いいかチョッパー!!」

ウソップは、四つ脚の獣型に変形したチョッパーに叫んだ。

「う、うん…!」
「男には──」
「そろそろ死にな長っ鼻!!"モグラ塚ハイウェイ゙〜〜〜!!!」

ウソップの言葉が終わる前に、ミス・メリークリスマスが仕掛けた。
ウソップの両足首をモグラの手で掴むと地面を滑るように走る。

「アアッ…ア…ア〜〜〜ッ!!!」

そして直進する先にはMr.4の姿。

「……た!!…たたとえ…!!しねし…ぬ死ぬ程……!!!おっかねェ敵でもよ…!!」
「くたばりなァ!!"モグモグ玉砕"!!!」
「!!!」

ウソップの体が壁を突き抜ける。

「……ぱ…ぱぽえ(たとえ)…オーペエ(とうてい)…勝ち目のねェ…相手だろ…う…ともよ…!!!」
「Mr.4、構えな!!"4トンバット"!!!行くよ、"モグラ塚"──」
「お〜〜ふ〜〜」
「"4番交差点"!!!」

バキッ!!!

真ん中高めの絶好球をMr.4が金属バットでフルスイングした。
打ったのはボールではなくウソップの頭蓋骨だ。

アッパースイングで打ち上げられたウソップは高いフライになって舞い上がると、捕手のいないグランドに落ちた。

「『ウソップ!!!』」

チョッパーとまなが悲痛な声を上げる。
ウソップは動ける──はずがなかった。
金属バットで頭を殴られたのだ。

さて、という感じでMr. 4ペアはチョッパーとまなを見た。
残りは1人と一匹。
それが仕事(ノルマ)だ。

「この野郎、お前らァ!!!……………!!」
「……男にゃあ!!どうしても…戦いを避けちゃならねェ時がある……!!!」
「な…!?お前まだ…!!!」

ミス・メリークリスマスが驚愕の表情で振り返った。
ウソップが立っていたのだ。
ボロボロの姿になりながら。

「それは…仲間の夢を笑われた時だ!!!」
『…!!』
「まなを泣かすんじゃねェよ… ルフィは死なねェ。あいつはいずれ"海賊王"にきっとなるから…」

そのことだけは笑わせないと。
船の仲間は笑わせないと。
鼻を折られたウソップは吠えた。

『ウソップ…』
「チッ…もう一度だ、Mr.4!!」
「フォー!!!」

Mr.4が改めてバットを構える。
直後、ウソップの背後の穴からモグラ女が顔を出し、再びウソップの足をつかんで死の疾走を始めた。

「どれだけ意気込んでも!!所詮その体じゃ何もできめェ!!!」
「チョッパー!!おれの後ろにつけ!!!」
「わかった!!」
「構えなMr.4!!」
「くらえ必殺…」
「行くよ!!"モグラ塚──」
「"煙星"!!!」

ウソップが得意のパチンコを撃つ。
特別製の弾がMr.4に命中すると、たちまち白い煙に包まれた。

「フォ──!!?」
「頼んだ、チョッパー!!」
「うん!!」

そして身を屈めたウソップは靴を脱ぐと、疾走させられた勢いのまま大きく跳んだ。

「ぬ!!?あのガキ!!靴を脱いで逃げやがったね!!!うわっ、何だ!!?(汗)」

手に残ったのがウソップの靴だけということに気づいたミス・メリークリスマスを、今度はチョッパーが後ろから押し進める。
──そして、

「"モグラ塚4番交差点"!!」

その声は、鼻をつまんで声色をオバチャンに変えたウソップの叫びだった。
ウソップの意図を察したミス・メリークリスマスは、

「待ちなMr.4!!アタシだよ!!!(汗)」

と叫ぶ。
しかし、Mr.4はパチンコの煙弾にまかれて視界が利かない。

次の瞬間──

「フォ──…」
「"バッ"!!やめ…」

ガンッ!!!

猛烈なヘッドスピードのバットが、モグラ女の鼻っ面を打ち抜いた。

「……フォ?」

打ち抜いた後でMr.4はようやく標的を間違えたことに気付く。
だが、その時にはウソップはチョッパーのところに着地し、とっておきの技の準備を終えていた。

「おい、てめェらこっち向けェ!!!」

チョッパーの二本の角にはられたパチンコのゴム。
それを、めいっぱい後ろに下がって引っ張ったウソップはチョッパーの角を照準代わりにMr.4を狙った。

「"必殺ウソッチョ"!!"ハンマー彗星"!!!」

弾丸代わりのハンマーが、チョッパーの角をパチンコを柄にして撃ち出される。

「フォ──…」

どてっ腹にハンマーの直撃を受けたMr.4は吹き飛んだ。
向こうでボーっとしていたラッスーに激突し、ミス・メリークリスマスもろともついに大地に倒れた。

起き上がる敵はもういない。

ふらふらと歩み寄ったウソップとチョッパーは、


「「勝ったァァ!!!」」

血と汗と涙と鼻水をぐちゃ混ぜにして抱き合った。

『終わった…』

まなが呟くと同時に、ウソップが力尽きて倒れる。

『ウソップ!!』
「ウソップ―、ウソップ!!しっかりしろ、死ぬなよ。い………医者ぁ──っ!!!(汗)」
「おめェだろ!!」
『ウソップ…ありがとね』
「……何のことだ」
『よしよし♪』

照れ隠しからか顔をそらすウソップが可愛いくてまながワシャワシャとその頭を撫でると、ウソップは更に顔を赤くした。

「Σやめろ!!//」
『あははっ!!』



アルバーナ南東ゲートの戦い。

ウソップ・チョッパー・まな組───勝利。





 
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