君といた軌跡T

□episode 9
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「間違いない!サボテン島と引き合ってる。私たちの次の目的地はあの島よ!!」
「あれかァ〜〜っ!!《偉大なる航路》2つ目の島だァ〜〜!!!」

ウイスキーピークを出た翌日。
ログポースを頼りにようやく辿り着いた島は、まるで秘境の地ジャングルを思わせるほどに巨大な木々が鬱蒼と生い茂る島だった。

「ここがリトルガーデン…!!」
『想像してた島と全然違う!!』

──というまなの言葉どおり、可愛らしい名前とはずいぶん土地のイメージがかけ離れたこの島は…何万年もの間、なんの進歩も遂げずに時代に取り残されてしまった太古の島。
空には始祖鳥が飛び交い、島には海王類に引けを取らないほど巨大な恐竜が闊歩している。

そんな、恐竜の時代が閉じこめられた島の名が何故"リトルガーデン"なのか…?
もちろん、理由は別のとこにある。
この島には恐竜よりも巨大な人間、巨人が住んでいる。
そう、ここは巨人にとって小さな庭でしかなく、まさに"リトルガーデン"。
巨人島"リトルガーデン"なのだ。

「気をつけなきゃ…ミス・オールサンデーの言っていたことが気になるわ」
「か…!か…!怪物でも出るってのか!!?(汗)」

島の内陸へと続く河口に向かって船をリトルガーデンの内部へと進めるほどに、ひしめき叢る未知なる植物が彼らの視界を妨げる。

その薄気味悪さに何ともいえない恐怖を感じたまなが、恐る恐る…といった様子で自然とルフィの近くへと体を寄せた時、まるでそれを見計らっていたかのようにギャアギャア!!と、何らかの生物による奇声が響いた。

『きゃあ!!(汗)』
「うおッ!?なんだよ、ビックリするじゃねェか!!」
『だ、だって…!何!?今のっ!!』

涙目になって怯えるまなにサンジは「かわいいなぁ…♡」とデレデレ顔。
──と、そこでサンジはハッとする。

(もしかして、ゆうなちゃんも怯えてるんじゃ…)

あわよくば自分も…と、少しの期待を胸に秘めたサンジが「さぁ、おれの胸に…!!」と、満面の笑みと共にはりきって腕を広げて振り返るが

『ゆうな見て!!あれ何だろう…』
『う〜ん…空飛ぶ…トカゲ?』
『未確認生物かな!!✧』
「……」

ゆうなはあやかと共に空飛ぶトカゲという謎の生物発見に大いにはしゃいでおり、まったく相手にされなかったサンジは愕然としてその場に膝をついた。

「…何やってんだ、お前;」
「……っ、うるせェ!!」

泣き崩れるサンジにゾロが哀れんだ視線を送ったその時だ。
──ドン!!と、まるで活火山が噴火したかのような大きな揺れと音が島中に響き渡った。
突然の異常事態にナミやウソップが悲鳴を上げて狼狽える。
だが、異常事態はそれだけじゃなかった。
──直後、密林の中から姿を表した一匹の虎。
ジャングルの王者たるその生物が、血まみれになってメリー号の前で力尽きた。

『ぎゃああああ!!!(泣)』
『うわ…;』
「普通じゃないわっ!!絶対、普通じゃない!!」
「こ…この島には上陸しないことに決定っ!!」
『さ、賛成…!!』

あまりにありえない光景を目の当たりにしたナミとウソップとあやかとまなが島に降りることを反対する中、好奇心旺盛なルフィが目を輝かせた。 

「サンジ!弁当っ!!」
「弁当ォっ!?」
「ああ!『海賊弁当』!!冒険のにおいがするっ!!!✧」
「ちょ…ちょっと待ってよ、あんた!!どこ行くつもり!?」

慌てるナミに、ルフィが「冒険!しししし!!来るか?」と輝いた笑みを溢す。
こうなったルフィがもう止まらないことを知っているナミが諦めたように涙を流していると、「私も一緒に行っていい!?」と、両腕を振ってウキウキしながら弁当ができるのを待っているルフィにビビが申し出た。

『え…!ビビも降りるの!?』
「ええ…じっとしてたらいろいろ考えちゃいそうだし、ログがたまるまで気晴らしに!!」
『そっか…』
「まなさんは…?降りないの?」
『…う〜ん…』

ビビに言われて、まなは少し悩んだ。
もちろん怖いから降りたくない…って気持ちのがほとんどなのだが、何故かルフィとビビが二人だけで降りるって思うとそれも嫌だな…って思ってしまう自分がいる。

けれど、ビビと違ってあたしは度胸も優れた身体能力もない。
そんなあたしが二人と一緒に降りてもきっと足手まといになるだけだから──

『あたしは…残ろう…かな』

そう返事をすると、サンジから弁当を受け取ったルフィが「えー!!」と声を上げた。

「まな降りねェのか?」
『う、うん…だって、やっぱり怖いし…』
「大丈夫だ!!いざとなりゃ、おれがまなを守るからよ!!」
『…う;』
(そんな笑顔で言われたら…)

何を根拠に大丈夫といえるのかはわからないが、あたしに向けるルフィの笑顔がなんだか頼もしいから…つい「わかった」と返事をすると、ルフィが嬉しそうに頷いた。

「よし!!」
『そのかわり、絶対あたしから離れないでね!!』
「おう!任せとけ!!」
「じゃあ、ビビちゃんとまなちゃんに愛情弁当を♡」
「カルーにドリンクもお願いできる?」
「任せて下さぁい♡」

そして、準備も整い──…


「よし!行くぞ!!」
『お、お──…;』
「おおよそで戻ってくるからっ!!」

1人不安そうなまなを連れて、カルーに乗ったビビとルフィは危険なジャングルの奥へと消えて行く。

『…大丈夫かな、まな;』

見送るあやかはもちろん、こんな何が出てくるかわからない密林の地に降りる気なんて微塵もなかったのだが…

「じゃ、おれも暇だし散歩してくる」
「散歩!?やめとけ!大人しくあいつらが帰って来るのを待つんだ!!(汗)」
「そうよ!こんな密林地帯で迷子になったら、あんた絶対帰って来れないでしょ!!?(汗)」
「大丈夫だ、こいつも一緒に連れて行くから」
『……!!?』
『…本人、声にならないくらい驚いてるけど;』

思いがけずゾロの迷子防止に巻き込まれることとなり、仕方なくゾロと共に地面に降り立つと、ラウンジから慌てて出てきたサンジがついでに食糧になりそうな獣を狩ってきてくれと言った。

ここで普通に「わかった」と言えば済むものを、この男は「お前じゃとうてい仕留められそうにねェヤツを狩ってきてやるよ」と、わざわざ挑発するもんだからサンジの闘争心に火をつけてしまい──結果、どちらが大物を狩れるかという狩り勝負にまで発展。
二人して船を出て行くことになった。

『行っちゃった…』
「どいつもこいつも、何であいつらあんなにこうなのかしら…」
「わかるぜ、その気持ち。泣くな、おれはおめェの味方だよ…!!」

悲壮感漂うナミとウソップ。
もちろん2人の気持ちには私も共感するが、今重要なのはそこじゃない。

『…このメンツだけで大丈夫か…?』

ゆうなが最も不安要素である現実をふたりに叩きつけると、ウソップとナミはハッとして、ナミが言葉を発するより先にウソップがそれを呟く。

「…頼りね〜〜」
「『それはこっちのセリフよ(だ)!!!(怒)』」

戦力という戦力が全員密林へと向かってしまい、
不安を感じたナミ達は静かに嘆いていた──。





  
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