蒼 通常

□出会い
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これからも色んな喫茶店に椿さんと行きたいです。ボク、楽しみにしてますから…。ふふ…椿さんとしたい事がまたひとつ増えました。(嬉しそうに微笑み)…あ、そろそろ注文しましょうか。…ボクはやっぱり、クリームソーダで。ここの看板商品なんですよ。因みに作ったのは全然喫茶店のイメージに合わない人なんですけど――(カラン…)「お…来てたのかよ、蒼。…って…なんだ、その女は…?」



早乙女と話が弾み、楽しく過ごしていると…長身かつ強面の、喫茶店の雰囲気にあまりそぐわない男性が入ってきました。するとその男性は突如貴女に対してメンチを切ってきて…!?どうやら早乙女の知り合いのようですが、彼は一体…?



は…初めまして…椿と申します



椿さん、突然すみません…。(男性の方を向き)ちょっと…椿さんを威嚇しないで。はぁ…面倒な事に…。…ああ、いや…なんでもないです…。って言いたい所なんですけど…思いっきり視界に入っちゃってますよね。彼はボクの幼馴染の…いや、名前はいいや。…だって…椿さんに名前を呼ばれる所、見たくないですし。「おい、ちゃんと紹介しろよ…(チッ…)しゃーねぇな、自分で名乗ってやる。俺は東雲獏(しののめ ばく)。蒼の幼馴染で…ここの店員だ。つっても父親のやってる店の手伝いってだけだけどな。んだよ…似合わねぇとか思ってんのか?」



そ…そんなことはないですよ!



椿さん、正直に言ってもいいんですよ。獏も自覚はしてるので。…というか、大学が忙しいから暫く休みだって聞いたけど…。「余裕できたから手伝いに来たんだよ。父ちゃん一人じゃ切り盛り大変だし…つーか俺がいない隙を狙ってワケわかんねぇ女連れ込んでたって事かよ」そうじゃないって…紹介しようとは思ってたけど、順序を踏まないと獏は椿さんに面倒な絡み方しそうだなと思って…。(prr…)あ、電話…マネージャーさんからだ。…ちょっと待っててください、椿さん。獏、椿さんに変な事言わないでね。



二人は仲がいいんですね!



椿さんも、獏の言う事は聞き流していいので…心配性なんです。「(椿をギロリと睨み付けると向かいに座り)…お前…椿だっけ。マジで変なヤツ…つーか、端的に言うとストーカーとかじゃねぇよな?仲良いんなら知ってんだろ、蒼が昔男に付き纏われた事あるって。あれ…蒼のファンだって言って近付いてきたヤツだったから、基本男女どっちだろうが信用しない事にしてんだよ」



その話は本人から聞きました…口だけだと信用してもらえないでしょうけど本人の嫌がることはしません!



「へぇ…ま、俺はすぐには信じねぇけど。それに…俺は役者・早乙女蒼の最初で一番のファンでもあるしな。…なんだ、何か言いたそうな顔してんな。一緒にうちの喫茶店に来るくらい親しいんだろ、まさか蒼の仕事を知らねぇって事はねぇよな。それとも…自分の方がファンだって言いてぇのか?(揶揄う様に笑い)……ん、お前…なんか落とし――…(パスケースを拾い)…これって…蒼の写真か…?」



獏の分かりやすい挑発に思わず自分の方が早乙女のファンだと口走りそうになるものの…ぐっと堪える貴女。しかし、身じろいだ際に鞄から早乙女に拾って貰ったパスケースを落としてしまい…。



…あ…やべ…



すみません、戻りました。…あれ?これ、ボクの写真…。…なぁんだ…椿さん、ボクの事…最初から知ってたんですね。「…あ?なんだそれ…って事はお前、蒼のファンだってずっと隠してたんかよ…?やっぱり何か企んでんじゃ…!」…ちょっと獏、椿さんにだって何か事情があったのかもしれないし…。…ひとまずここを出ましょうか、注目されちゃってますし…。椿さんは先に出ていてください、すぐ行きますので。――…【喫茶店前】「……あの、そこの貴女…(もじもじ…)そうです、キミ…ヒヒッ…。…えっと…そのぉ…(薄ら笑いを浮かべ椿ににじり寄り)」



悪意はないものの、事実を隠しながら早乙女と接していた事は事実…彼になんと説明しようか思考を巡らせていると、知らない男性に声を掛けられ…?



…何でしょうか?



お待たせしました、椿さ…(ハッ…)椿さん、その男から離れてください!その人は――「あヒッ…♡蒼くん、蒼ぐん…っ…♡その姿も可愛いねぇ…会いたがった、よぉ…♡」…すみません…この男性が前に話した…付き纏いの方で。丁度さっきマネージャーから、事務所にまた様子のおかしな手紙が届くようになったと連絡があった所なんです。まさか近くまで来ているとは…。(青ざめながら)「どうじて…どうじて最近、その女といるのぉ…?蒼ぐんの隣…誰にも渡さない…♡そいつは相応しく、ない…っ!(椿に拳を振り上げ)」…っ…!…椿さんっ…こっちです…!(椿の手を取り走り出す)



蒼くん!?



絶対にボクの手を…離さないでください…!――…【繁華街】…はぁ、はぁ…はっ…。すみません、走り続けてしまって…。ひとまずここまで来れば大丈夫…だと思います。マネージャーと獏も顔見知りで、さっき連絡があった件も伝えているので…店の前で、捕まえてくれている筈です。あは…ボクは逃げる事しか出来ませんでしたが…脚を動かせただけでもすごい進歩、なんですよ。椿さんを守らないとと思ったら…身体が勝手に動いてました。あれ…もしかして、ボクの方がびっくりさせてしまいましたか?あは…ボクだって男ですし…好きな子を守る事くらい、出来ますよ?



…えっ?///



あれ…気付いてなかったんですか?ボクのアピール、まだまだでしたかね。椿さんがボクの事本当は知ってたとか、正直どうでもよくて…。あ、いや…昔から知っててくれたのはちょっと…恥ずかしかったですけど。でも…ボクといる時の椿さんは演技でもなんでもなく、間違いなく「早乙女蒼」自身を見てくれていた気がしたので…それが嬉しかったんです。…違いますか?



合ってます///



そう思っていてくれて嬉しいです。もう一度…ちゃんとボクの気持ち、伝えますね。ボクは今まで…自分を殺すことで誰かが喜んでくれたりすることに、生き甲斐を感じてきました。でも…あなたの前では違う。あなたにはもっとボクを見て欲しい。ありのままのボクを……愛して、欲しい。この手を取ってくれたら…(手を差し伸べ椿を見つめる)…本当のボクの心は、あなたに一生捧げます。
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