短編U

□助けて…
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(…喉乾いた…)



時雨は喉の渇きを覚えると這いずるようにして井戸水を汲みに行く。


そして、井戸の側に来たときあることに気づいた。



「…水を入れる物持ってくるの忘れた」



時雨は力なくその場に倒れる。



(…誰か…助けて…)



いっそのこと、井戸水を汲む桶で直のみしてやろうかなどと考えていると足音が聞こえる。



「…時雨…殿?」



不安げに聞こえるその声は紛れもなく幸村の声だった。



(…幸村にちょっと助けてもらおう)



「幸村…ちょっ…「…ギャァァァーーー!時雨殿の幽霊が出たでござるぅぅぅ!」」



幸村はとっさにそう叫ぶ。


それもそのはず…


時雨は井戸の側で顔面蒼白、髪は寝起きのままなので結んではなく、這うようにして幸村に手を伸ばしているのだから…


幸村は恐怖のあまり半泣きになりながら逃げ出す。



「逃がすかぁぁぁ!」



一方時雨はせっかくの助けを逃したくない一心で自衛隊もびっくりの驚異の速さで匍匐前進をする。


その恐ろしさにその場面に出会った何人の人が恐怖のあまり涙したことやら…





「…本物の時雨殿でござったか」



それから、生きている時雨だと分かった幸村は死にかけている時雨を抱えると時雨の部屋に向かう。



「ごめんね…風邪引いたみたいで」



弱々しく言うと幸村はゆっくり時雨を布団に寝かせて恐ろしいことを言い出す。
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