短編U

□助けて…
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「こちらこそ済まぬ…昨日のせいであろう…詫びと言ってはなんだが、時雨殿の看病を某にさせてはもらえぬか!?」



幸村は服をギュッと握りしめて決心したように言う。


女の身でありながら幸村と雨の中殴り愛に参加させてしまったことに罪悪感があるのだろう。


そんな、幸村の真っ直ぐした目を見た時雨は静かにこう言う。



「…嫌」



しぼらくの間沈黙になる2人。



「…ど…どうしてでござるか!?…某は時雨殿のために…「幸村が看病なんて出来るはずないでしょ!?」」



時雨は今まで幸村のことを思い返しても到底看病なんて出きるはずがないと分かりきっていた。


しかし、そこで引くような幸村ではなかった。



「佐助はいないの?」



「佐助は偵察に行っている…故に明日までは戻らぬ…それに、かような時雨殿を1人にはできぬ!どうか…どうか某に看病をさせて下され!」



幸村はついには頭を下げる。



(うぅ…そこまでされたら…)



「…なら…今日は幸村に甘えてもいい?」



「もちろんでござる!」



簡単なものなら幸村でも出来るよねと心の中で思うと幸村に簡単なものを頼んだのだった。


それが、悲劇の幕開けになるとも知らずに…
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