短編U
□助けて…
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「それは一掴みだろーがぁぁぁ!」
そう、見た目は美味しそうなお粥だが塩の分量が素晴らしいため、もはやジャリジャリいうお粥なのだ。
時雨は叫ぶと力尽きたように倒れる。
「佐助…佐助助けて…」
譫言のように言うとさらなる悲劇が起こる。
「…佐助には負けられぬ!某は何としても時雨殿を看病しなくてはならぬ義務がある!」
「いや…そんなものないから…もう側にいるだけでいいか「時雨殿!待っていて下され!」…あぁ…」
佐助を勝手にライバル視すると幸村は走っていく。
「さぁーすけぇぇぇーーー!」
そう叫びながら…
(…幸村には悪いけど逃げよう)
身の危険を感じた時雨は青ざめながら部屋から出る。
(…とりあえず安全な場所に…)
などと考えていると、背後から足音が聞こえる。
「時雨殿?…きちんと布団で寝ていないといけないでござるよ?」
時雨はこの時ほど幸村が怖いと思ったことはなかった。
恐る恐る振り向くとお粥の中に何かの生々しい肉片が入っていた。
「…それは?」
思わず問いかけると幸村は無邪気な笑顔で言う。
「スッポンの肉でござる…スッポンは栄養に富んでいると聞いた故」
時雨は顔をひきつらせる。