皐月 通常

□皐月 出会い
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「椿ちゃんのこと…だいすきだから…いつかぜったい、ぜーったい、さっちゃんと――」



【朝日奈皐月】
仲睦まじい幼馴染ながらも、事情により離ればなれになってしまっていたあなたと皐月。それから十数年が過ぎたある日の朝、あなたが目を覚ますとすっかりイケメン青年になった皐月が目と鼻の先にいて…!?



(ゴソゴソ…ギシッ)…あ、起きちゃった?Guten Morgen、椿…めっちゃ久しぶりだね。あは、何その顔〜。覚えてないの?俺だよ、おーれ。泣き虫さっちゃん。朝日奈皐月くんでーす☆…あれ、覚えてない?(笑)っていうかワケがわからないって感じかな。ここはキミの家でー、キミの部屋でー…可愛い顔で寝てたキミに、俺が覆いかぶさっちゃってる危ない状況だよー…♡



…ギャアァァ!そこ退いて!



ちょいちょい、叩くことないじゃん?さっきドイツから帰ってきたばっかりなんだけど…椿がまだここに住んでくれてて良かった。何よりも真っ先にキミに会いたかったんだー…ぎゅっ…あはっ、めっちゃドキドキしてるよ?顔も赤くしちゃって…この程度で恥ずかしがってどうすんのって。なんならー…今からヤってもいいんだけど?♡



誰がさせるか!このチャラ男!///



…ストップストップ!ごめん、なんか違うから今の無し。あんましっくりこなかったって言うか…んー、こういうのじゃないんだよな…あ、なんでもないよ。こっちの話だから気にしないで?「皐月くーん、ご飯食べてくでしょー?」(下の階から声が響く…) ――はーい、ご馳走になります!…あ、そうだ。ちょっと方向性変えてー…椿、お母さんに呼ばれちゃったしそろそろ起きよ?ほら、俺の手握って…(ぎゅっ…)



うん///



よいしょっと…ん、顔近いね…♡ちょっと俺の目、見てみて?じーって。……そうそう、…あっ…まだ逸らすなって。…あと3秒…2…1…はい!よく頑張ったね?今キミはー…さっちゃんかっこよくなったなーって思ってた…でしょ?♡あー絶対思ってた、間違いない(笑)俺さ、目見てるとその人の考えてること大体わかっちゃうんだ。俗にいう心理学って感じ?



凄いね…あれだけで分かっちゃうんだ!



凄いでしょ?俺って色々と秀才なんだよねー。それにしても…じー…椿、すっごく可愛くなったね?あの頃結構かっこいい系だったじゃんー?って…あは、そんな引かないでよー。昔と違い過ぎてビックリしただけだって。でも面影はちゃんと残ってるから…一目で椿だってわかった。まったくもう、こんな美人さんになっちゃって…っと…そろそろリビングいこっか。あ、その前に顔洗ってこなきゃね?先リビング行ってるから、ぱぱっといってらっしゃい。(椿を見送る…) ……んー、やっぱ違う…昔の俺って、どんな気持ちで椿と話してたんだっけな…。



…昔のさっちゃんとはだいぶかけ離れてるな…



【リビング】…お、しゃきっとした表情。いいねー♡「もー椿ったら!男の子いるのにおめかしの一つもしないで出てきて!ごめんなさいねぇ皐月くん、この子気が利かなくて。もう今日から大学生だってのにねぇ」あはは、相変わらずパワフルだなぁ椿のお母さんは。全然気にしてないので大丈夫ですよ?そもそも、おめかしなんてしなくてもー…椿は素顔のままで最高に可愛いので。



…え?///…そんなこと言われたことない///



あはは、そんな真っ赤になんなくてもいいのに。「…ああ、久しぶりだね皐月くん」お父さん!ご無沙汰しております、お元気そうで何よりです。「はは、そんな老人みたいな扱いしないでくれよ。まだまだ働き盛りなんだから」おっと…これは失礼しました(笑)あ、ご飯食べないと冷めちゃいますね。椿もこっち座って座って、ほい。俺の隣ー。じゃあ…いただきまーす。



いただきます!



ん〜美味い!椿のお母さんってほんと料理上手だよねー。やっぱり味噌汁の味が良いなぁ。おっと、朝ごはんと言えばこいつも欠かせないよね…ぺろっ、つぱつぱ…。「あら、皐月くんそれ好きねぇ。昔からずっとでしょ?」ええ、未だに大好きですよー…んえ?どしたの椿。そんな怪訝な目で…何それって…酢昆布に決まってるじゃん。常に持ち歩いてるよ?箱で。このすっぱい感じが結構ツボでさー、一日5箱は食べてるね。食べる?1枚ならあげてもいいよ。ほれ、おたべー?



…それはいらないな…



ほ?まー嫌なら別にいいけどさー…つぱつぱ。「それにしてもカッコよくなったわね〜。うちの子ったら、年頃なのに彼氏の一人も作らないから心配だったんだけど…皐月くんが帰って来てくれたならもう安心ね!椿のこと頼んだわよー」「皐月くん…君のお父さんとお母さんは立派な人だった。だから君のことも信頼している…椿を何卒頼むよ」お母さん、お父さん…もちろんですとも。椿のことは俺に任せてください!



二人とも!娘の意志を無視して勝手なこと言わないでくれる!?…さっちゃんも安易にそんなこと言わないの!



なーんか、外堀が勝手に埋まってく感じで面白いなー(笑)俺は別に大歓迎だよ?ふぅ…ごちそうさまでした。Danke für das Essen!「それは…ドイツ語か?」ですです。ごちそうさまでしたって意味ですよー。「ほう、語学も堪能と…椿、こんなに素敵な青年は滅多にいないぞ。大事にするように…それじゃあ、仕事行ってくる」「あ、洗濯物干さなきゃ。椿、食器だけまとめといてくれる?よろしくね〜」(ドタバタ…) およ、にわかに忙しそうだねー。俺もそろそろおいとましようかな…これからちょーっと用事あるんだよね。…何の用か気になる?(笑)



気になるけど、聞いていいことなの?



ふっふっふ、教えてあげましょう!さっちゃんこれでも今日から大学生だからー、面倒だけど大学行かないといけないってこと。ぴっかぴかの一年生ってね。あ、ていうかさっきお母さんが言ってたけど…椿も今日から大学生か。んじゃあ色々準備とかあるだろうし、互いに大学終わった後でまた会おうよ♡じゃね〜。(タッタッタ…)

あなたも今日から大学生。支度をしてから大学へ向かいましょう!



私もとりあえず準備しよう



【大学】んでねー、そいつがめっちゃ面白くてさー。(朝日奈が女子大生とお喋りしている…)――え、椿!?…あ、ごめん、俺この子にちょっと用事あるから。また今度話そー♡…あーびっくりした。椿、ここにいるってことは俺と同じ大学なんだ?しかも同じキャンパスだったなんてね…別の大学かなって思いこんでた(笑)そうだ、せっかくだし一緒にレクリエーション参加しよーよ。(ぎゅっ)ほら、行こ行こー。



…まさかさっちゃんも同じ大学だとは…



え、知らなかったのー?よろしくね♡「…あ、いたいた!椿〜!」(女の子が駆け寄ってくる…)「もー置いてっちゃうなんて酷いじゃーん…って…え?誰、その男」 いや、こっちのセリフなんだけど…キミこそ誰?椿の知り合い?「むっ…(何この男、感じわるー)私は椿の親友だよ。親友の大道鈴子(おおみちすずこ)!中学からずーっと仲良しで、大学も同じところ行こって約束したんだもん。ねー椿♡」



うん!さっちゃん紹介するね!私の親友の鈴子ちゃんだよ!



「おーよしよし、椿は可愛い子だねぇ」ふーん…親友ねぇ。まあ何でもいいや、可愛い子とお話出来るのは大歓迎ー♡「えっ、まさか付いてくる気…私が先に約束してたんだけど?」 そんな固い事言わないでよー。三人で行けばいいじゃん、今から一名様追加ってことで…椿もいいでしょ?せっかく手も繋いでるんだしさ。(むぎゅむぎゅ)「ぐぬっ…ずるい!私も手繋ぐ!」(ぎゅうー) あは、椿の両手塞がっちゃったね?



…これは…どういう状況!?



ま、両手に花ってことで。んで、とりあえず班分けしてからレクリエーションするんだっけ?あんま混んでなさそうなところはー…あった。あの端っこの班でいいんじゃない?優しそうな先輩いるし。「…ん、新入生だね。ようこそプラメ大学へ!普通科三年の峰岸だ、よろしく頼む」 どもーっす。っていうか筋肉凄いっすね先輩、ムキムキだ(笑)「日々鍛えているからな!君は…まだまだ成長の余地がありそうだ。興味あれば後で筋トレ同好会を覗いてってくれ!女子も大歓迎だぞー」 ちょいちょい、椿をそんな不埒な活動に誘わないでよー。



…不埒ではないと思うよ?



えー不埒だよー。椿は筋肉系男子のが好きなの?「それじゃあ、レクリエーション始めるぞ。まずはデザイン科の校舎に移動するから付いてきてくれ!」「え…デザイン科って結構遠いですよね。そもそもなんでデザイン科に…?」「今年は新入生が多いから、向こうの教室をいくつか借りることになってるんだ。普通科の校舎を使える班はすぐに埋まってただろう?」 マジか…なんつー罠だよ!道理で端っこの班が空いてた訳だ…っちぇー、歩くの嫌いなんだけどな。「はははっ、しゃきっとしろ青年!敷地内を10分程度歩くだけだから、そこまで大変じゃないぞ!」 いや先輩、10分歩くって結構重労働っすよ…行こっか椿…。(とぼとぼ)



ふふっ…話してたらきっとすぐだよ



そうかなぁー…椿もしかしてアウトドア派?――…はぁ、やっと着いた…?も〜さっちゃん疲れちゃったよー。たすけて椿ー…(ぎゅう)「あっ、またそうやってくっついて…あんたさ…椿のこと好きなの?」 ほ?そりゃあ…あー…んー…ね、好きってどういう感情だったっけ。「…?急に何言って…」「よーし、全員上の階に移動するぞー。迷子にならないようしっかり付いてきてくれー!」 っと…ほらほら、置いてかれちゃうよ?ちゃんと付いてかないとね。(すたすた…)「あ、ちょっと!…もー、よくわからない男だなぁ…」



…さっちゃん?



「んー、悪い人では無さそうなんだけどね…」「――全員注目!ここは多目的ルームだ。まずは各自荷物を置いてくれー。しっかり施錠するから貴重品も置いてって大丈夫だぞ。準備が出来たら、普通科の校舎に戻って施設説明するからな!」 いや向こう戻るんかーい!俺が必死に歩いた10分間はなんだったの…大学こわー…えっ待って、つまり荷物取りに戻るから更に往復するってことだよね?地獄か?「許せ青年!後でここ使って簡単なアンケートとテストも受けてもらうからな、必要な往復なんだ。――ガチャリ…施錠良しと。それじゃあ行くぞ諸君!」 ぴえん…いーよいーよ、俺は椿にくっついて癒されながら歩くし。むぎゅー。



うわっ!?…なんか、さっちゃんと先輩でコントしてるみたい(笑)



【数十分後】――…もう動けない。無理。動いたら死ぬ。たぶん。俺はね?レクリエーションなんて、適当に座りっぱなしで話聞いとけば終わるかなーって思ってたんだよ。まさかここまで歩かされるなんて思わないじゃん普通。椿と鈴子ちゃんがいてくれたおかげで話し相手には困らなかったけどさー…。「まあまあ、そうグロッキーになるな。次はアンケートとテストだから、もう歩くことはないし…って…はっ!?な、なんだこれは…!?」 んえ?どーしたの先輩、そんな殺人現場でも見たみたいな声出して。



…何かあったのかな?



「これは、一体…どういうことだ…!?見ろ…多目的ルームから、全員の荷物が無くなっている…!!」 …いやいや(笑)そんな怪奇現象起こるはず…わぁお、マジでなくなってるな…。「場所を間違って…いや、ここで合ってるな…盗まれたのか?施錠もきっちりしたはずなのにどうやって…そうだ、先生に報告しないと。教務室は上の階だ…エレベーターを使った方が早いか。よし、全員付いてきてくれ!」 密室泥棒ってことか…いいじゃん、面白い。ちょうど退屈してたし…このくらいのハプニングは起こってくれた方が楽しいってね。



…楽しいって…



不謹慎だった?(笑)【教務室】(峰岸が状況を説明している…)「うん、とりあえず状況はわかった。こっちで指示出すまで待機してて?」「わかりました、失礼します…」(ガララッ…)「…とのことだ。すまん、俺も混乱しててどうすればいいのか…今は先生からの指示を待とう。多目的ルームに戻るぞ…くっ、どうしてこんなことに…」 …ふーん…(朝日奈が鋭い目つきで峰岸を見つめている…) ん、どしたの椿…俺の顔なんかついてる?

いや…急に目つきが変わったからどうかしたのかなって?
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