皐月 通常

□皐月 出会い
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ん、何でもないよー。今はまだ…ね。――…【多目的ルーム】「…俺は…あまり、小説とかは読まないタイプなんだが…そんな俺でもわかる…こんな摩訶不思議な状況、絶対におかしい…!」(見れば、全員の荷物が元に戻っている…)「無くなってた…よな?さっきは…でも今はあるよな。どういう…ああもう、頭がおかしくなりそうだ…!」 …これ、元に戻ってる訳じゃないな…見て。貴重品や金品だけが綺麗に抜かれてる…やっぱり盗まれたんだ。おそらく全員分の荷物から。「余計に訳がわからんっ…これはもう、大学内でどうこう出来る問題じゃないな…警察に…」



…どうしよう



待ってくださいよ先輩。こんな面白そうな事件を警察に?冗談でしょ。こんな貴重なトリック、解かないで捨てるとかありえないから。時間はかけない…10分。10分で俺が暴いてみせる。この事件のトリックと、犯人をね。「暴くって…青年、君は…一体何者なんだ…?」 何者って――ああ、言ってなかったっけ。椿にも初めて言うよね…よーく聞いてて?



う…うん



俺は探偵だよ。高校生…じゃなかった、今日からは大学生探偵か。朝日奈皐月…ま、これでも探偵業界じゃ名の知れた天才ってやつなんで…以後お見知りおきを、ね?とりあえず周囲の調査から始めよっか。…何ぼーっとしてんの、椿も一緒に行くんだよ?ほーら、こっちおいでー。あ、そうだ…鈴子さーん、ここの人達の聞き取り調査お願いしてもいい?「え、やだよ。なんで私が」 貴重品、戻ってきて欲しいでしょ?(ニコッ)「ぐぬっ……あーはいはい、わかった。やればいいんでしょやれば…」 ん、助かるー♡んじゃ、椿は俺と一緒にれっつごー!



え?私に手伝えることあるの?



――…【5分後】(朝日奈がルービックキューブを弄っている…)カシャカシャカシャ…ん?どしたの…あー…これ?ルービックキューブ。昔もよくやってたでしょ?まだ好きなんだー…これやってるときが一番集中できるし、落ち着く。変?(笑) …カチッ…さてと…盤面は全部揃った。調査の結果からしても、やっぱりこの推論に間違いは無い…けど…んー、どうしても納得いかないことがあるんだよなー…。



…納得いかないこと?



まあ…ちょっと、ね。…あ、見てよ椿。ここの中庭めっちゃ桜咲いてる…春って感じするねー。(朝日奈が桜を見つめる)…椿、ちょっと見に行こうよ。まだ時間あるし…せっかくなら目の前で見たいでしょ、桜。これも推理の一環だから…ほら、こっちこっち。



え?…本当にこれも推理に繋がるの?



【中庭】おー、本物の桜吹雪だ…すごいねー…花びらがひらひらって舞って…俺達の周りで踊ってるみたい。あ、椿…髪に桜乗ってる(笑)可愛いー♡それにしても、桜とかほんと久しぶりだなぁ。ドイツじゃ自然に咲き誇る桜は見れないし、やっぱ日本の風物詩って感じだよねー。…ねえ、椿…っ…(桜を見上げている椿に釘付けになる…)
「…椿ちゃん、なにみてるの?…さくら?うん、きれいだよねー。…でも…椿ちゃんのほうが…」
――そっか…あの頃の俺…こういう気持ちだったんだ…。



…ん?…どうしたの?



ピース、全部はまっちゃった…あー…知りたくなかった、ってか…解けない様に自分で隠蔽してたみたい。……はー…、やっぱ俺…あの頃となんも変わってない、か…。椿への想い、全部そのままだった…あ、ううん。なんでもないよ。事件解決―☆ってとこ。…ね、俺の推理…披露していい?てか聞いて?



うん!教えて欲しい!



【告白】事件以外でこんなに頭悩ます事、なかったんだけどな…。俺さ、ドイツで色々大変だったせいで…椿への想いがどういうものだったか、忘れちゃってたんだよね。でも…この桜を見て、椿のこと見つめて…ちゃんと思い出せた。ねぇ、あの日…俺が引っ越す前に、約束したの覚えてる…?こんな感じで桜が舞ってて…俺がキミに言ったの、泣きながら。「大好きだから、いつか結婚してください」って…。今はもう泣き虫さっちゃんじゃないから泣かないけどさ。俺の目、ちゃんと見て?…好き。キミのせいで…事件とか頭入らないんだ。探偵的にマジ致命傷。……俺と付き合って?んで、いつか絶対さっちゃんとー…
「いつかぜーったい、さっちゃんと――」
――結婚してください。…ん、…ちゅ…♡
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