千弘 通常

□2日目
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【翌朝】――…カチャッ…パタン…。…あ、起こしちゃった?ポフッ…おはよ、椿ちゃん♡ちゅっ…♡あんまり気持ちよさそうに寝てたから起こすのは可哀想かなって思ってさ…こっそり抜け出てシャワーだけ浴びてきちゃったの。ところでどうかな、身体の方は…あんま辛くはないっしょ?



確かに…大丈夫だよ!



そっか、ならよかった♡ふふっ、何だか嬉しかったなぁ…(椿の髪を指で弄び)…朝目が覚めた時に、腕の中に椿ちゃんがいてくれて。目が覚めた時に誰かがいてくれるのってこんなに安心するもんなんだ〜って、しみじみ思っちゃった。…ん、どーしたの…そんなに頬綻ばせちゃってさ…?



いや…朝から幸せな気分だなって///



ふふっ…♡こんなに気持ちが安らぐのも…きっと、椿ちゃん相手だからなんだろな。…ね、ぎゅってさせて…♡すりっ…ぎゅ…♡ん〜…ふふっ、やっぱり椿ちゃんの匂いって安心する〜…♡…ありがとね椿ちゃん、俺の恋人になってくれて。俺に、好きな人に触れる幸せを教えてくれて…♡



そんなに言われると照れるよ///



何回言っても足りないくらいだよ…♡椿ちゃん、だーいすき…♡…ん〜…さて、と。ふふっ、昨日あんだけいっぱいシたからさ…お腹空いたでしょ?簡単に朝ごはん作ってあげるから、椿ちゃんもシャワー浴びてきちゃいなよ。…ほぉら、起こしたげる♡手ぇ貸して、椿ちゃん?



うん!ありがとう!



ぎゅっ♡ん、おっけ♡せーの…よいしょっ♡はい、おっけー♡…(ぎゅ、と確かめるように手を握り)…ふふっ♡それじゃ、ゆっくり浴びておいで♡タオルと洗っといた着替え、脱衣所に用意しておいてあるからさ。俺はキッチンに居るから、出たら声かけてよ。…いってらっしゃい♡



いってきます!



――…あ、椿ちゃんおかえり♡ナイスタイミング、今ちょうどパンも焼けたとこだよ。ほらほら、椿ちゃんは席ついてて♡…カチャカチャ、コトッ…コーンチャウダースープと温野菜のサラダだよ。朝ごはん作るのなんてだいぶ久々だから、お口に合えばいいんだけど。…それじゃ、いただきます。



美味しそう!いただきます!



どうかな…美味しいかな?朝ごはん久々って言ったけど、こうして女の子に料理振舞うの自体初めてかもなぁ。彼女出来たの初めてなんだよねぇ、俺。この仕事始めてからはお仕事一辺倒だったし、女の子に触るの事態苦手になっちゃったこともあるからねぇ…あはは、結構マジメでしょ?



確かに今まで触れなかったもんね…



椿ちゃんが初めての彼女さんってコト♡ま、もし好き嫌いとかあったら今度教えてよ…これからは時々こうしてご飯作ってあげられるわけだし。俺、椿ちゃんが美味しそうにご飯食べるトコも大好きだからさ♡ふふっ、こうして料理食べて貰えるのが嬉しいなんて感覚…結構新鮮かも♡



じゃあ、今度は私がご飯作るね!



あは、赤くなっちゃってかわい〜♡あ、そうだ…今日は俺お仕事ないし、この後事務所一緒に行こっか。椿ちゃんのお仕事期間満了したし、一応はちゃんと報告しないとね。でも、その前に一旦椿ちゃんのお家寄って行った方がいいかなぁ…昨日と同じカッコのまんまって落ち着かないでしょ?



そうだね!一旦家に帰ろう!



じゃあ行きがけに寄ってこっか♡カチャッ…ごちそうさまでしたっと♡それじゃ…準備して向かおっか、椿ちゃん♡――…コンコン…カチャッ…お疲れ様で〜す。社長、います?「来たのね、チヒロ。…椿さん、この度はお疲れ様です。貴女がチヒロのフォローに回ってくれたおかげで滞りなく仕事が回ったこと、とても感謝しているわ」



いえ…私もお仕事なかったので助かりました!



ね、社長。少し相談なんだけどさ…椿ちゃんのこと、このまま雇い続けるのって難しいの?「それは無理ね、本来のマネージャーである岡持くんももう粗方タスクを終えてるし。それに、今回こそ少ないから上手い事回ったけれど…貴方の本来の仕事量ならベテランである岡持くんの方が適任でしょう」…そっか。



確かに仕事のことを考えるとそっちのほうがいいもんね…



あはは…なんかごめんね、出しゃばっちゃって。「…それにしても、珍しいのね。貴方が女性を傍に置きたがるなんて。…もしかしてだけど、貴方…」…カツカツ……っと、社長どうしたんですか…突然立ち上がって…。「……やっぱり、私が近寄っても身を引くのね。…高嶺くん、貴方…椿さんなら触れても大丈夫なんでしょ?」



えっ…どうしてそれを…?



社長、どうして…?「分かるわよ、何年貴方の面倒を見てきたと思っているの?…ふふっ、けれど安心したわ。幾多の女性を幸せにしてきた貴方が、女性に不信感を抱いたまま終わってしまうようなことが無くて。…その様子だときっと付き合ってるんでしょう、貴方たち」



ぜ…全部バレてる…///



…はぁ、社長には隠し事できないね。けどさ、付き合ってんならなおの事…「なおの事、椿さんには任せられないわ。よくよく考えなさい、AV男優のマネージャーにその彼女を宛がうなんて…それこそ酷だというものでしょう?…でも、彼女がいるってことは別に隠さなくてもいいと思うわ」…?へぇ、意外〜…そっちの方が隠せって言われちゃうかと思ってた。



私もそっちは黙っておかないとって思ってたな…



どうしてなんですか、社長?「彼女がいるって周知されている方が問題を持ち込んでくる女優への牽制になるし…何より、貴方ほど売れてる男優なら彼女くらいいた方がむしろ自然なのよ。まぁ、彼女は一般人だから顔は出さないに限るけれど」…そっか、それじゃあ俺が彼女のこと好きってことは隠さなくてもいいって事?…それは、嬉しいかも。



牽制にもなるならそっちのほうがいいね!



つまるところ…俺たちの関係は事務所公認ってコト♡「…と、ここまでは仕事視点での話。高嶺くん、貴方が真に信頼できるパートナーを得られたということ、一個人としてとても喜ばしく思っているわ。…椿さん、貴女のような人が傍で支えてくれるなら安心だわ。…高嶺くんのこと、これからも宜しくね」



はい!彼を支えられるように頑張りますね!



…ありがとうございます、社長。…コンコン…「社長、お呼びですか?」「来たわね、岡持くん。…それじゃあ、後の手続きは彼が。頼んだわよ」「はい。では椿さん、こちらへ…良かったらチヒロさんも一緒にどうぞ」そう?じゃ〜俺もついてこっと♡いいよね、椿ちゃん?



うん!一緒にお願い!



やった♡じゃあちゃっちゃと行こ♡――…トントン…「…さて、退職の手続きはこれにて完了です。椿さん、お疲れ様でした…それと、おめでとうございます」あれ、もう岡持さんの耳にも入ってんの?「所属男優の情報やコンディションは常に把握しておくのがマネージャーの務めですから。…それにしても、チヒロさん…貴方、彼女作れたんですね…」



私も正直びっくりしてます



岡持っちゃん、それ思っても口に出しちゃダメなやつ(笑)「いえ、別に変な意味ではないですよ。チヒロさんの事は変な人だなと思ってはいますが…」あはは、思うだけで良いって言ってんのに…。「…まあ、それはさておき。当事務所での庶務は終わりましたが、立場上今後も椿さんにはチヒロさんのプライベート面で色々お世話になるとは思います。…どうか、是非彼のことを宜しくお願いします」



はい!彼がここでちゃんと働けるように支えていきますね!
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