プラスメイト イベント用

□道慈 もののふ恋物語
1ページ/4ページ

——姫…起きてください。ゆさゆさ…って。全然起きないな…はぁ。椿…おい。椿…朝だぞ。いつまで寝てるんだ…今日は芸事の稽古があるだろ…。早く起きないと、お館様に叱られるぞ…。ゆさゆさ…?



んー…もう朝?



何寝ぼけてるんだ?良いから起きろ…バサッ(布団をはがす)って…はぁ。スッ…(はだけている着物を直す)胸もと開きすぎだ…いつも俺が起こしに来てるからいいが、俺がいない時に、他の男にこんな姿見せるんじゃないぞ。ほら、その寝ぼけた顔で稽古する訳にはいかないだろ。顔洗いに行くぞ。(ぎゅっ)



…はーい



トコトコ…それにしてもよく寝たな。日頃の疲れか?昨日も夜遅くまで稽古してたし、最近凄く忙しそうだもんな…。今日の稽古は午前の間に終わるらしいから、午後からはゆっくりしてるんだな。んっ…?椿、目の上に何か…ちょっと目を閉じろ



わかった



スッ…(目の上に付いた物をとる)よし。取れたぞ…フッ…。まぁ、今から顔を洗えば取れるんだがな…って。ふふ///そんなに、キュッと目を閉じて…もしかして…俺にキスされるんじゃないかって。少し期待したか?むにっ…(頬をつまむ)凄く、顔が赤いぞ///



そ…そんなことない///



はいはい。そんな怒るなって。ガラガラー…ほら、着いたぞ。とりあえず顔を洗うんだ…水。少し冷たいから気をつけろよ。まぁ、目は冷めるし、スッキリすると思うがな。って、待て待て。そのままだと、袖が濡れるだろ…ちゃんとくくって…。ん。本当にいつまで経っても手にかかる姫だな。俺がいないとダメなんだから///



ふふっ…だからずっと側にいてね!



そんな素直に言われると…ゴホン。照れるな…///良いから顔洗え…稽古間に合わないぞ。そろそろ、先生もいらっしゃる頃だし。ドタドターー『姫ぇぇえ!!!!あっ!こちらにいらっしゃいましたか!!』佐久間…廊下は走るなと親方様にも叱られてたろ、うるさいぞ。そんなに慌ててどうした…



もしかしてもうお稽古の時間!?



『申し訳ございません…ゼーハー…ゼーハー…姫、親方様がお見えです!お顔を洗いましたら、着替えて親方様のお部屋まで起こし下さい!』親方様…帰ってきてるのか。それなら…ほら。椿、タオルだ…。急いで支度をして、親方様の所へ行くぞ…。ダッダッダーーー



走ったら怒られるよ!



【親方様。部屋前】準備できたな。トコトコ…ふぅ。やはり親方様と顔を合わせる時はいつだって緊張するな。椿も、父親とは言え、失礼な発言には気をつけるんだぞ。って…髪の毛。乱れてるぞ、なでなで…。よし。綺麗だ…。ほら、入るぞ。…――親方様、八馬でございます。姫をお連れ致しました…失礼致します。ガラガラー…



失礼します



『姫。おはよう。随分と遅い目覚めだな。芸事や稽古が詰め込んでいて大変かとは思うがな。これば全部姫の為なのだぞ。もう少ししっかりと、自覚を持ち。お前は城の為に嫁ぎに行かなければならない。分かっておるか。それと、八馬…お前を世話係にしてるが、どうなっている。甘やかし過ぎであるぞ。』大変申し訳ございません。親方様…。ですが、姫は日頃から忙しい予定の中、とても良く頑張っております…俺も姫を支えながら、必ず素敵な女性に致しますので…。甘やかし過ぎず、お嫁ぎになるまで、姫の支えになれればと思います。



家のためにももっと精進致します



『そうか…。それと、あまり八馬に負担をかけるでないぞ。姫…そして、負担ばかりだが、お前には期待してるぞ。八馬』はい。親方様。ご期待に添えるよう、これからも精進致します。それでは、そろそろ稽古がありますので、俺と姫はこれで失礼いたします。…姫。参りますよ、立てますか?スッ…(手を差し伸べる)



ありがとう



ぎゅっ♡では…参りましょう『それとだな…八馬。昔馴染みなのは分かるが、姫も。もう、立派な女性だ、軽はずみに、姫の身体に触れるでないぞ。嫁ぎ先の殿に誤解されたらどうするんだ。』……親方様。…申し訳ございません。以後気をつけます。スッ…(手を離し。下げる)稽古に参りましょう。姫…



…うん



ガラガラー…はぁ…すまないな。余計な事で怒られてしまって。確かに距離が近すぎた。昔馴染みではあるが、俺と椿は、あくまで、姫と世話係…。トコトコ…分不相応だもんな。トコトコ…んっ。やめろ…そんな悲しそうな顔をするな…。俺が椿を好きになるなんて…あっちゃならねぇ事だったんだ。



そんなこと言わないでよ



ああ…そうだよな、悪い…。昔から椿だけを見てきて、いけねぇって分かってても。目が離せないし、常に椿の事を考えて。心配になって。どんどん、どんどん…椿に惚れていっちまう。ぎゅっ。触れちゃいけないって分かってても…触れたくてしょうがない。そう思うのは俺だけか…?



私だって同じだよ!ずっと側にいてほしい!



椿…もなのか?。前までは妹のように楽しく世話してたが、今では…スッ(頬を撫でる)立派な女性にしか見えない。俺は怖いモノなんざ、この世に一つもなかった。弱点のねぇ、無敵の男だったんだよ。でもな、…弱点が出来ちまったよ。……お前。…俺の弱点だ。本当に…どうしてこんなに可愛くなったんだか…。俺の手から離したく無くなる…ばーか。ちゅ(両手を椿の頬にあて…キスをする)



私もかっこいいお兄ちゃんって思ってたけど、いつの間にか好きになってたの///



そ、そうなんだな///しっ…声出すな。俺と姫だけの…秘密だ。『ドタドタ!!!姫ぇぇぇ!!!!何してるんですか!!先生がお待ちですよ…八馬殿まで…親方様に知られたら雷が落ちますからね…ぅう。こわ…ほらほら!!稽古に行きますよ!!って…どうしたんです?姫…顔が赤いですが』



何でもないです!お稽古に行きましょう!



『んっ…?何も無いならいいですが…』ほら、先生がお待ちだ…行きますよ。姫…『ぁあ!!八馬殿は下のものに剣術を教える稽古があるではないですか!稽古室まで俺がお連れしますのでお任せ下さい!!』…ちっ。ほんとに空気が読めないな…だが、俺も待たせる訳には行かないし。グイッ…(椿を引き寄せ、耳元で囁く)稽古が終わったら部屋で待っていろ。俺も終わったらすぐに会いに行く。分かったか?///



うん///待ってるね///



ふふ…いい子だ。『何話してたんすかぁ…本当に仲良いっすねぇ』佐久間には関係ねぇ事だ…ほら。いつまでも、先生を待たせる訳にも行かねぇだろ。失礼のないようにな。じゃあ、俺も行く…頼んだぞ。また後でな…姫。



はーい!



【数時間後】『姫。お疲れ様でした♡今日も1日頑張ったわね。次の稽古までには今日出来なかった事が出来るように復習しておいてくださいね♡それでは♡』ーーん。よぉ…終わったか。稽古お疲れ様…。部屋に行こうと思ったんだが、今日は親方様も城にいるからな。折角だから、気晴らしに城下町に出かけねぇか。視察も兼ねて…俺が馬を走らせるから、ほら。行くぞ



うん!



ヒヒィーン…スリスリ。ふふ、今日も頼んだぞ。よし、椿…馬に乗れ。ここに足をかけて…勢いよく馬に跨るんだ。俺が手で押し上げてサポートするから。怖がらず跨るんだ…せーの。ぐっ!!(お尻を持ち上げ押す)ふふ、乗れたな…じゃあ、俺も後ろに…スッ!ぎゅっ…(椿の後ろにのり、手綱を握る)んっ…距離近いな…



ちょっとドキドキするね///



なんだ?耳…赤くなってるが。ふっ…(耳に息を吹きかける)んっ!そんな暴れんな…馬がびっくりするだろ。悪かったよ。つい、からかいたくなるんだ。馬が走ったら落ちないように、じっとしてるんだぞ、俺がこうやって…ぎゅっ♡支えててやるから。じゃあ…行くぞ!城下町へ…ハッ!ヒヒィーン…パカラッパカラッーー



でも、久しぶりに城下町に行くから楽しみ!



【城下町】っと…賑わってるな。ほら、椿…手をどうぞ。降りる時は慎重に降りるんだ。ぎゅっ(手をとる)そのまま、降りてこい…せーの。グイッ…んっ///ぎゅ…全く。慎重にって言ったろ…なでなで。大丈夫か?足元よろ着いたが、痛くないか。



大丈夫だよ!



それなら良かった…今度から気をつけろよ。さて、久々に来たな…城下町。最近は俺も椿も毎日忙しくて、こんな時間なかったし。たまには息抜きにこう言うの大切だろ…トコトコ…。んっ…そう言えば稽古終わりで何も食べてないだろ?少し何か食べてから、城下町を探索するか…麺か、ご飯…どっちがいい?



うーん…じゃあご飯!



ごはんか…それなら、あそこだな俺のオススメの店に一緒に行こう。ぎゅっ(手を繋ぐ)人が多いんだ…はぐれるなよ。…って。すまねぇ。親方様に過度な触れ合いはするなと、怒られたばかりなのに。気づいたら椿に触れてしまう…。悪いな…スッ(手を離す)ほら、触れられないが、俺の傍を離れるなよ。守ってやるから…トコトコ…そんな顔するな。俺だって…触れてたいのに(小声)



…城下町にいるときくらい手を繋いじゃダメ?



【食事処】ほら、椿…ここが空いてるぞ。俺の隣に座れ…。パラッ…(メニューを開く)ほら、どれがいい。握り飯に、うどん…ほう。団子も色々揃ってるぞ。城下町の視察に来た時に、佐久間とよく来るんだが…椿とずっと来たかったんだ。椿の好きな物…沢山揃ってるからな。椿の喜んだ顔が見たくて……っ///なんでもない…。



連れてきてくれてありがとう!何にするか迷うな…



それが良いのか?じゃあ…頼むか///すいませーん…注文良いか。『あらぁ…八馬ちゃん♡今日はいつもの可愛い男の子じゃなくて…あらら♡もしかして…恋仲の方かしら…ふふ、可愛いお嬢さんだねぇ…あっ。もしかしていつも話してる…八馬ちゃんの好きな…』あああっ…ゴホン…おばちゃん。腹減ってるんだ…注文を頼む…///って…何だその目は…別に…何でもないぞ///ぁあ…何だか調子が狂うな…///



ふふっ…慌ててる所見るの面白くて



全く…おばちゃんは口が軽い…///ふぅ…それより、今日も疲れただろう…?稽古の先生はいつも厳しいからな…まぁ、どれも、これも全部椿の将来の為なんだが…。こうやって日が過ぎていく毎に、椿が大人になって…離れていってしまう日が来てしまうと思うと…本当に…んっ。すまない…こんな暗い話をしたかったんじゃないんだ…。苦しいのは椿も一緒だもんな…時代が時代とは言え…政略結婚なんかじゃなく、好きな人と結婚できる日は来るんだろうか



いつかそんな日が来たらいいな



そんな日々が来ることを俺は願ってる…『お待たせぇ…♡って…なにしんみりしてるのよぉ…ほらほら、美味しいご飯食べて元気出しなさい♡コトン…コトン…』確かに…折角久しぶりに椿と城下町に来たんだ…楽しまないとな。しんみりする話をしちまって悪い…。ほら、めちゃめちゃ美味いんだぞ…♡出来立ての内に食おう///じゃあ、頂きます…




そうだね…いただきます!




どうだ?美味いだろう…///おばちゃんの料理は味も勿論美味いが…何より愛情がたっぷり入ってて、温かみのある美味い味がする…モグモグ…これなら無限に食べれるだろ…♡モグモグ…って。椿…ふふ、そんなにガッツいて、喉に詰まらせないようにな…ゆっくり味わって食べろ♡じー…(椿を見つめる)



あんまり見られると食べにくいよ///



んっ…?何って…見てちゃダメか…。ふふ、椿のメシ食ってる姿…可愛いくて…///最近中々一緒に食べる機会がなかったからな。自然と目が行っちまう…頬いっぱいに詰め込んで…美味そうに食ってる姿は昔と変わらないんだな…。連れてきてよかったよ…何だか喜んでくれてるみたいだし…また、二人…まぁ佐久間も連れて…一緒に来ような。ほら、約束だ…(小指を出す)



また来ようね!約束!
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ