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□道慈 納霊幽魂百物語
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——暑いな…あともう少しで家に着く…それまでの辛抱だぜ。最近はずっとカンカン照りでしんどいな…大丈夫か椿…家に帰ったらしっかりと水分補給をするんだぞ。あと…クーラーつけて…アイスでも食うか♡って…ん?なんだあの子…



ん?…誰かいる?



あそこにいる女の子だ。こんな真夏に1人っきりとは…親は何してんだ。なぁ…迷子かもしれねぇし…少し話しかけてみるか。っと…まて。でも俺が行ってもビビらせるだけか…だが、熱中症になってもいけねぇもんな。椿、一緒に話しかけてみよう。行くぞ…ぎゅっ。



確かに道慈は強面だからね(笑)



おい。君…何してるんだ…1人で。【こちらをじっと見て何も話さない少女】んっ…無視…無視か…まぁ怖いよな。急に話しかけられて…(少し落ち込む八馬)まぁ、俺じゃビビって話したくねぇかもしんないし、椿…話しかけてみてくれ。



ふふっ…ねぇねぇ…こんなところでどうしたの?…お母さんはどこに行ったのかな?



[何かをカバンから取り出す少女]ん?なんだこれ…。見せてくれるのか…おくすりてちょう?って…ボロボロでよくわからないな…何処かに落としたのか?なにか分かる情報は…パラッ…名前は岡崎涼子10歳。んっ…喘息で病院に通ってるのか…君。親御さんはどうした、あっ…もしかして、喘息の関係で喋るのが辛いんだな。なでなで…クイッ【椿の背中に隠れる少女】



大丈夫だよ!このお兄ちゃん見た目は怖いけどとっても優しいから!



ん。さすが椿。もう懐かれてるな。俺ってそんなに怖いか…椿は明るいし、子供に好かれるもんな…って。重要な所が欠けてて見えない…一番住所を知りたかったんだが…なぁ。涼子ちゃん…お家の場所…分かるか?【大きくうなずく…】そうか…なら近くの交番に行って送り届けてくるか…ぎゅうううっ…(椿の腰に抱きついて離れない…何か言いたげな少女)



…ねえ…この子離れたがらないし、一緒に家にいかない?



んっ。どうしたんだ…帰りたく無い理由でもあるのか?(持っていた折り紙に何か書く)んっ…何だ。――【お家に帰りたい…お兄ちゃんとお姉ちゃんに連れてって欲しい…一人が怖いから一緒に来て欲しい】ほぅ…俺らに連れてって欲しいのか?(大きく頷く少女)…どうする椿。見捨てるわけにも行かねぇし、個人的には送り届けたいが…一緒に来てくれるか?椿にも随分懐いてくれてるしな…



一人だと可哀想だし一緒に行こう!



ありがとうな。それじゃあ…案内してくれるか?それにしてもこの季節に一人は良くねぇぞ?怪しい人が居ないって訳じゃないんだし…親に会ったら少しガツンと言ってやらねぇと…まぁ、俺も幼い頃は良く一人で出歩いてたが…女の子だしな。椿も幼い頃とかは外に出てたか…?



一人で遊びに行ってよく怒られてたなー…



へぇ…そんなモンなのか。活発だな。―俺に娘が出来たら絶対に一人じゃあ、外にださねぇぞ…【心配しすぎて嫌われるよ…】ん?嫌われる…娘のことを心配すんのが親ってもんだろう。俺って過保護なのかな…【そう言えば…お兄ちゃんとお姉ちゃんはふうふなの?】



まだ、夫婦じゃないよ?///



ん。そんな否定しなくても…まだ夫婦じゃねぇが。俺の大切な人だ…【パパとママも仲が良いけど、同じくらい二人も仲良しさんなんだね】あぁ…仲良しだぜ。なっ…椿。ぎゅっ…ん?恋人なんだから手を繋いだって良いだろう…子供の前だからって関係ない。がおー、食っちまうぞ。…はは、驚いたか?お前のことはつい甘やかしたくなっちまうが、俺も鬼なんて呼ばれてた男だ。本気になると怖ェんだぞ、忘れんなよ。ふふ、それに…ほら、涼子ちゃんも、一緒に繋ごうぜ。って…そんな顔して…嫌か…?――【他の女の子と手繋いだらお姉ちゃんしっとするよっ…めっ。】ははっ…嫉妬…か///椿…俺が涼子ちゃんと手を繋いだら嫉妬するか?♡



うーん…少しは妬いちゃうかも///



…だよな(笑)…さすがにしないってよ♡ほら…折角なら3人で繋ごぜ。折角出逢ったんだ。仲良くしよう…ぎゅうっ(満面の笑みで椿と八馬の手を握る)ふふ、そんな可愛い顔で笑うんだな…ふっ…初めてそんな笑顔を見れたな…。こんなに可愛く笑える子だったんだ…可愛いぜ。あっ…ちなみにな?この世で一番笑顔がかわいい最高の女性はこのお姉さん。椿だから…覚えておくんだぞ。(大きくうなずく少女)いい子だ…



ちょっと!?涼子ちゃんに変なこと教えないで///



んっ…別に良いじゃねぇか…本当の事なんだし。――【数分後】んっ…突然立ち止まってどうした?此処は…コーポプラメ…もしかして…ここでお家か?(大きくうなずく少女)良かった…無事に送り届けられたな…。椿も暑い中ついて来てくれてありがとうな。この子も大分最初より顔が明るくなったし…。じゃあ、親御さんに届けて帰るか…何か…少し離れるのが寂しいがな…(少し悲しそうな顔をする少女)



涼子ちゃん…どうしたの?



んっ…どうしたんだ。少し寂しいのはこの子も一緒か。まぁ…このまま迷子の子を届けないって言うのも、この子の為にならねぇしな。親御さんにもご挨拶してから帰ろう…っと…202…。ここか?じゃあ、チャイム押すぞ。ピーンポーン…ピーンポーン。んっ…まさか留守か?コンコン…すみませーん…ぎゅうっ(椿の手を強く握りしめる少女)



…ギュッ…涼子ちゃん…大丈夫だよ



んっ。やっぱ居ないな…涼子ちゃんも不安みたいだ…。それとも、親御さんも探しに行って入れ違えになったとか…それだったらやべぇな…『んっ。どちら様?そこのお部屋の人に何か用かしら…』あ。こんにちは…ぇえ…っと。道で迷子になってた子を送り届けに来たんですが…202号室の方はご不在でしょうか。涼子ちゃん…この人知ってるか…んっ…あれ?涼子ちゃん…(突然と姿を消す少女)



あれっ!?…涼子ちゃん!?



椿…何処かに行ってる所見なかったか?『んっ…もしかして…ここの202号室のお嬢さんの事を言ってるの?』あっ。はい…岡崎涼子ちゃんと言う喘息持ちの女の子に会って…俺の彼女と一緒に家に連れて来たんですが。親御さんお留守ですかね?『何を言ってるの…まさか…何かの間違いじゃない…?そんなはずは…』(青ざめ震えながら話す)んっ…何か変な事言ったか俺…



…もしかして…涼子ちゃんって…



『実はね…?去年…涼子ちゃんも…お母さんも、事故に会って亡くなってるのよ。だから、今はここには誰も住んでないわ。それに先日涼子ちゃんのお父さんも…亡くなってね。今は誰も住んでいなくて…私はここの大家なんだけど…今遺留品の片付けをしてるのよ。本当に大変で仕方がないわ…。』ガチャ…(何もしていないのに202号室の扉が開く)



…えっ!?扉が開いた!?



何だ!急に扉が…大丈夫か。椿…傍を離れるなよ…『何事なの…さっき鍵を締めたばかりなのに…もういやっ…ダッダッダッ(その場から離れる大家さん)』あっ。ちょっと待って下さい…!って…行っちまった…。どう言うことなんだ…急な展開すぎて…頭が追いつかない…。ガラガラっ…(部屋の中から物音が聞こえる)ん…何か今物音がしなかったか…?



…もしかして涼子ちゃんがいるのかな?



椿もか…気のせいじゃないよな…椿…俺が少し様子を見てくる…っ。でも此処に一人椿を残すのは不安だな…。この状況じゃあ何が起こるか分からねぇし…少し怖い気持ちは分かるが…必ず俺が守ってやるから。椿…付いてきてくれるか…。このまま…手を離すんじゃないぞ。



うん!



ぎゅううっ…いい子だ。行くぞ…一応靴を脱いで…っと。お邪魔します…ん。意外となんもないんだな…まぁさっき遺品整理してたって言ってたし…片付けちまったのか。さぁ…物音がしたのはどっちだろう…。って…椿。大丈夫か…?顔色少し悪いぞ…流石に怖いか…?なでなで…無理だけはするなよ…何があっても守るから。



ありがとう…昔から霊感はあったから余計に見えちゃうから



そうなのか…んっ…椿。ちょっとこっちに…ぐいっ(椿の腰を引き寄せる)何か足元に…ガラスの破片か。危ねぇ…。何でこんな所に…んっ。机の上に写真がある…これは…家族写真か。涼子ちゃんや…この隣に居るのは親御さんか。へぇ…優しそうなご両親だったんだな…どっちも…いや…もう3人共この世からいなくなっちまったなんて。それにしても…俺達が会った涼子ちゃんは…一体何だったんだ…。ガチャーン…んっ!またこの音…あそこの部屋からか…椿。開けるぞ…俺の後ろに隠れてろ。



う…うん



ガチャ…――(部屋の隅で涼子ちゃんが折り紙を折っている)ん。涼子ちゃん…。なでなで…なぁ…少し事情を聞いちまったんだ。別に君の事は怖いなんて思わない…ただ…その…成仏出来ない理由があるんだろう。って…こんな難しい事言ったって分かんないよな。(ペンを取り出し…何かを書く涼子)んっ…なんだ。【私が死んじゃったのは知ってるよ。皆私の事無視するし、死んじゃった時の事も覚えてる。でもさっきお兄ちゃん達が話しかけてくれて。お母さんとお父さんに会えるかもって思ったの】…なるほど…。つまり涼子ちゃんはご両親に合いたいって事か…。なぁ、椿…これ以上巻き込もたくない気持ちもあるが…俺としては涼子ちゃんを成仏させてやりてぇし…会わせてやりたい…少し協力してくれないか…。



私も同じ事を思った!



ありがとうな。椿も同じ気持ちで嬉しいよ…っと…探す…と言っても。どうやって探すかが問題だよな…。一度涼子ちゃんが事故にあった事故現場に行ってみるか…。涼子ちゃん…少し思い出しちまうかも知れないが…お母さんに会えるかもしれないしな。一緒に行けるか?(大きくうなずく涼子ちゃん)よし…いい子だな。強いよな…俺も色々見習わねぇと。椿も一緒に居てくれてありがとな。涼子ちゃんも嬉しいだろ…(椿に鶴の折り紙を渡す)



いいの?…ありがとう!



おっ。上手だ…良かったな椿。涼子ちゃんは折り紙が好きなんだな…バックの中にも折り紙入ってたし…【ママと一緒に折ってたの。病気で外に出れなかった時ママとパパが教えてくれた】へぇ…そうか。喘息…なんだもんな。外に出れなくて寂しかったろ…。今日は俺も椿も居るし…沢山楽しい思い出作ろうぜ…な?なでなで…【お姉ちゃんも…沢山遊んでくれる?】



うん!いっぱい遊ぼうね!



ぎゅうううっ…(椿に駆け寄って抱きしめる)♡…って。おい…そこでイチャつくな…。俺だって、椿と抱きしめあいたいのに…ふっ…じゃあ、このまま二人を抱きしめれば良いのか…ぎゅううう♡ははっ…楽しいな…っと。はしゃぎ過ぎちまった…強く抱きしめすぎたな。悪い…なでなで(椿と涼子ちゃんの頭をなでる)ほら、皆でイチャつくのも良いが…そろそろ行くぞ。



そうだね///…涼子ちゃん行こう!



じゃあ、早速向かうか…ガチャ…『あっ…貴方達…大丈夫だった?さっきは、ごめんなさい…取り乱してその場を離れてしまって…』大家さん。いえ…突然このようなことを言われたらビックリしますよね。『えぇ…実は最近涼子ちゃんのお父さんが亡くなったって言ったでしょう?実は…お父さんは自殺でね。二人が亡くなってから、魂が抜けたみたいだったわ…二人の葬儀が終わった後に…この間この部屋で首を吊って亡くなったの。だから…私も心の整理が出来なくて…』そうだったんですね…(椿の服の裾を掴む涼子…少し手が震えている)



…ギュッ…涼子ちゃん…大丈夫だよ



んっ…。もう此処ぐらいまでにしておこう。すみません。大家さんもお話頂いてありがとうございます。じゃあ、俺達は用事があるので此処で失礼致します…――涼子ちゃん。大丈夫か…悪かったな。つらい思いをさせて…。椿も大丈夫か…色々バタバタしちまって。悪いな…この頃の子供を見ると、俺の子供の頃を思い出してな…俺も誰にも甘えられずに、一人でいたからよぉ…。ぎゅっ…(涼子ちゃんが椿の手と八馬の手を握る)



私のことは気にしなくても大丈夫だよ…



んっ…どうしたんだ。って…大丈夫な訳ないか。一人で耐えられる訳ないよな。(重く静かな空気が流れる)実の所俺は父親の記憶があんまりなくて…あったとしても、いい思い出じゃねえんだ。だからこんな時なんて声掛けていいか…な。でもよっぽどお父さんの事が好きだったんだな…。家族って…良いな。【お兄ちゃんにはお姉ちゃんがいるでしょ】…ははっ。そうだな…椿は俺にとって大切な人で…家族だから///



ありがとう///



こうやって椿に出会って毎日幸せを貰ってる。本当にありがとな。(にっこりと涼子ちゃんが笑う)――っと…確か調べたら事故現場は此処ら辺の交差点だった気が…んっ。誰か手を合わせてる…金髪の兄ちゃんだな…知り合いか?(頭を横に振る)ん?そうか…親御さんの知り合いかもな…。あっ…話しを聞こうと思ったのに…行ってしまった…なぁ涼子ちゃん。事故にあった現場は此処で間違いないか?(うなずく…)そうか…でも、お母さんの姿は無いな…。もしかしたらこの辺を探し回ってるかも知れない…あんな優しそうな顔したお母さんなんだ…きっと成仏出来てないはずだ…。でも、一応挨拶はしておこう…ほら椿も一緒に手を合わせようぜ…パンッ(手を合わせ挨拶をする八馬)
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