短編U
□助けて…
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「…ゲホッ…ゴホッ…うぅー…」
武田の家臣である時雨は現在高熱にうなされていた。
「…そりゃ、風邪もひくわな」
時雨は風邪の原因となった昨日の出来事を振り返った。
「時雨殿ぉぉぉぉーーー!」
「幸村ぁぁぁぁーーー!」
2人は庭でいつものごとく殴り愛をしていた。
雨の中…
互いに拳をぶつけながら叫んでいると、雨が時雨の目の中に入る。
時雨は視界がぼやけて一瞬だけ幸村から目を離す。
幸村はその隙を見逃さず時雨に拳をぶつける。
それをくらった時雨は耐えることができず後ろにあった池の中に飛び込む。
「…時雨殿!?…大丈夫でござるか!?」
そこまで飛んでいくと思っていなかった幸村は慌てて池に近づく。
「…敵に不用意に近づくとはまだまだ甘いわ!」
時雨は池から勢いよく飛び出ると幸村を殴り飛ばす。
「ぐはっ…ふ…不覚でござったか」
幸村は殴られた頬を拭うとまた戦闘態勢に入る。
そんなことを夜までしていたため時雨は風邪を引いてしまったのだった。
自業自得と言えばそれまでなのだが…