何ともない、彼女等の日常

□よくあること?
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「無い…無い…!」
ポポの声が大部屋に響く。
この基地の最も広い部屋、大部屋はドーム状になっているためか音がよく響く。フウは最初でこそどうにかならないものかと思っていたが、最近ではもう慣れてしまった。
彼女はソファで本を読んでいる。ポポの声が聞こえたのはついさっき。いつから居たのかは知らないが、今基地に居るのは2人だけの様だ。
「何が無いんだ?」
テーブルの下を覗き終わった彼女を横目で見ながら尋ねる。
「リモコン…テレビのリモコンが無いの」
「…その左手に持ってんのは何だ?」
彼女の左手には小さな四角の箱。
「……」
「……」
ポポの顔がみるみる赤くなっていく。
「…ぁあはははは、あった!」
「お前…マジか…」
「よよよよくあるでしょ?!」
「ねぇよ」
「皆には言わないでね…!」
「さぁな」
「ちょ」
その時、大部屋の扉がガチャと鳴った。
「お、タイミングいいな」
「だ、ダメだよ?!」
チチャとリンが入ってきた。2人は騒がしいから、この部屋の空気もすぐ変わるだろう。とフウはそんなことを思いながら本のページをめくった。
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