お題:マフィア、空、宝石

□2.凄惨な報復
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裏の世界では有名なボンゴレ。
その知名度は誰しもが憧れるものだ。
そしてそんな地位が邪魔だと思う組織も現れる。
しかし奇襲を受けたという話は一切聞かないのだ。
情報を隠滅したのか。
それは違う。
彼らは奇襲を受ける前に片付けているのだ。
そしてそのことを知るものは誰もいないという。

そしてまた、罠にはまった子羊が迷い込んできた。
そう、ボンゴレに…



ツナは執務室で書類のチェックを行っていた。
他にもリボーンと獄寺が近くで仕事をしていた。
仕事をすると静かになるが、ツナはふと何か思い出して手を止めず話し出した。

「そういえば新しい子…キュレッド君だったっけ?どう?」

ツナが言いたいことは新しく入ってきたキュレッドについて知りたがっているようだった。
そしてキュレッドは今、獄寺の部下として行動していた。
話題を振られた獄寺は少し考えるそぶりを見せるとまた書類に目を通し始めた。

「仕事もよくやってくれますし人材としては欲しい人でしたね」

「うーん…それは…捨てがたいね」

「はい。ですが…最近夜中によくここに来ていますよ。何かを必死に探しているようでしたね」

獄寺がそういうと今まで淡々と動かしていたツナの手が止まり、顔を上げていた。

「…へえ。それは大変だね。早く見つけれるといいけど。あ、じゃあ俺も手伝ってあげようかな!」

いい考えだ、と言うかのように閃いた顔をするツナだったが、クスクスと笑う声が聞こえムッとして声のする方へ目を向けた。

「何笑ってるんだよ、リボーン」

そう、笑っていたのはリボーンだったのだ。
リボーンは顔をニヤつかせながらツナを見た。

「いや。成長したなと思ってな」

「…絶対思ってないでしょ。そんなこと」

「どーだろーな」

「もうっ!」

これ以上怒っても仕方がないとわかったツナはため息をつくとまた作業を再開した。
しばらく静かに作業をしていると、ドアをノックする音が聞こえ外から「綱吉」という声が聞こえてきた。

「どうぞー」

ツナがそういうとドアが開き、雲雀が入ってきた。
その手には数枚の紙を持っていた。

「頼まれていたもの持ってきたけど」

そう言って手に持っていた紙をツナに渡した。

「わあ!ありがとう恭弥。仕事が早くて助かるよ」

そう言いながら受け取った紙をパラパラと見る。
リボーンと獄寺も気になりツナの方へ行くとツナがリボーンに紙を渡しそれを見た。
同様に獄寺にも渡して見終わるとまたツナに戻した。

「で、どうするつもり?」

目をギラギラと輝かせながら問いかける雲雀にツナはフッと笑うと、持っていた紙を机に叩きつけた。

「もちろん。迷える子羊には道標を与えないとね。隼人、守護者を呼んで」

「はい」

「恭弥は少し休んでて。また時間になったら呼ぶから」

「わかったよ」

「リボーンは俺と一緒にね」

「ああ」

「それじゃあよろしく」

そう言うと獄寺と雲雀は部屋を後にし、残ったのはツナとリボーンのみだった。

「とりあえず道をつくる準備をしないとね」

ニヤリと笑うその顔にリボーンは帽子を深く被り、口元を緩ませていた。


###


時刻は午前になろうとする時間だった。
キュレッドは仕事場で何やらゴソゴソと探し物をしていた。

ここにもない…

そう思い立ち上がると急に電気がつき眩しく腕で目を隠した。

『お、悪いな』

そう言って中に入ってきたのはボンゴレの守護者である山本だった。
相手が山本だと気づきキュレッドは頭を下げた。

『いいって、そんなことしなくて。忘れ物とりにきただけだしな』

そう言いながら山本は自分が使っている机の方へ歩いて行った。

…彼ならなにかわかるかもしれない

そう思ったキュレッドは両手をグッと握りしめて山本に目を向けた。

『あ、あの…』

『ん?どうした?』

『えっと…ボンゴレのことで知りたいんですけど…』

『……なんのことについてだ?』

これならいける

キュレッドはそう感じていた。
しかし、それが叶うことはなかったのだ。
山本の目が殺気で満ち溢れているのだ。
キュレッドはそれに気づくのが遅れてしまい、気づけば逃げ場など存在していなかった。
いつの間にか現れた獄寺とクロームによってキュレッドは動くこともできなかったのだ。
しかも3人とも殺気に満ち溢れており、キュレッドは恐怖で頭がいっぱいだった。
それなのにコツコツと歩く音が頭の中に響くように聞こえてきてキュレッドはその音の存在から目が離せなかった。

『こんばんは、キュレッド君』

その相手とはボンゴレのボスであるツナだった。
ツナの後ろにはリボーンがドアにもたれかかっていた。

「武、お疲れ」

「おう」

日本語がわからないキュレッドにはツナと山本が何の話をしているのかさっぱりだった。
しかしツナの目はずっとキュレッドをとらえたままだった。

『さて、君が今欲しいと思っているのはこれかな?』

そう言ってツナが取り出したのは少し分厚い書類を取り出した。
表紙にはボンゴレ企業秘密と書かれていた。

『それはっ!』

『こんな書類は元々ないんだけどね。君が探しているって聞いたから表紙だけつくったってわけ』

『っ!じゃあ…俺が…敵だってことを…』

『知ってたぜ。だからこそ10代目はお前をここに置いたんだ』

驚きを隠せずにいるキュレッドに獄寺が訳を話していく。

『本当は欲しい人材だったんだがな』

『えっ…』

『さて、キュレッド君。君達のマフィアは何処なのか教えてくれるよね?』

顔を青ざめるキュレッドだが、ツナはそれでも話を続けていく。

『ああ、やっ言わなくてもいいや。どうせわかっているし、今潰してるから』

『えっ…うそ…だろ』

『…ボスの言ってることは本当よ。雲雀が情報を手に入れて了平と一緒に暴れにいったわ』

信じられないというキュレッドにクロームが説明をする。
それでも信じられないのかキュレッドは首を横に振っていた。
そんな彼も次の言葉で折れてしまっていた。
静かな空間の中電話音が聞こえリボーンが電話に出る。

「俺だ…………そうか、わかった。お前らも気をつけて帰れよ」

『なんだって?』

『お前のファミリーが全滅だとよ』

ツナは電話の相手もその内容もわかっていたが、彼にわかりやすくするためにわざとイタリア語で聞いてきた。
そしてリボーンの一言にキュレッドは戦意喪失し膝をついていた。

「隼人、彼を地下へ」

「Si」

ツナがそう指示すると獄寺はキュレッドを無理矢理立たせ、歩き出した。
それに続いて山本とクロームも後を追い、残ったのはツナとリボーンだけだった。
リボーンはツナの側へ近づくと俯いているツナの頭をポンっと叩いた。
リボーンの温もりに安心したのか、ツナはリボーンに抱きついた。

「がんばったな」

「………うん」

彼の後始末は守護者で行われるだろう。
本来なら人材として欲しかったのだが、情報が漏れるのはいけないということで敵だったものは全て排除するという掟になっている。
ツナもそこはどうしようもないのでどうしようもできない。
しかし、ツナが人の命を奪うことに対して抵抗が少しあるということにリボーンと守護者は気付いているので代わりに守護者がおこなっている。


「帰ろっか」


落ち着いたのかツナはリボーンから離れそう言うとリボーンも頷き歩き出した。

迷える子羊には制裁を

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