yellowprince

□始まり
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最初は、年上で先輩で よく喋るし、口 悪って思ってたんだ。そしたら同じグループになって… 相変わらずよく喋るし、口悪いし、とんでもないムチャ振りとかされたんだよね。本当は、上下関係なくそうっていうことで、貴方が率先して壁を壊してくれてたんだよね。
でもオレ、すっげー人見知りで心開くのも一番最後だったんだよな。そんなオレに少しずつ近づいてくれて… オレ、踊りとかローラーとか全然ダメだったんだけど、いつも出来るまで付き合ってくれてさ… 何だ 本当は優しいじゃんって思えてさ… それからオレも、色々話せるようになって、やっと心開けるようになったんだ。
その時はオレ、端ばかりにいたから、貴方の場所は遠い存在だったんだ… そのうちに、貴方の隣に立って同じ景色が見たいっていう欲が湧いてきたんだ。そりゃあ、ミツと2トップでやってきたんだから、そこにオレが立つなんて 場違いなのは解ってたよ。でも、どうしても立ちたかったんだ… だから、頑張って頑張ってやっと貴方の隣に立てた。もう凄く嬉しかったよ。何か全部がキラキラしててさ…
そしたら、撮影とかも貴方の隣にいることが多くなって、嬉しくて仕方なかったんだ。
でも、隣にいればいる程もっと貴方のコトが知りたくなって、その内に 触れたいって思えてきたんだ。
そんな時、ドラマの共演話がきたんだ。オレが主演で オレ様キャラ、貴方は、同じグループでライバル役・性格もすごく優しい役でさ… 正直、お互い正反対だなって 笑ったのを覚えてるよ。
実際やってみると、解らないコトだらけだった。毎日プレッシャーだらけだったし、ハゲかけたし、毎日 風呂場とかで吐いてたし。もう、何やればいいか どうしたらいいか本当に解らなくてさ… 精神的にすっげー辛くて、もう辞めたい って思ったりもしたんだ。
そんな時、人伝に
『藤ヶ谷君が“玉なら 何が何でも乗り越えますよ。やり切りますよ。俺は信じてるんで”と言ってたよ』
と聞いた。
オレ、声上げて泣いてさ… こんなオレを信じてくれてんだって… もう 自分が情けなかったね。まだやれるのに、やろうとしない自分に腹が立ったんだ。そっからはオレ、すげーガムシャラにやったよ。台本も、字が読めなくなるまでボロボロになったし、自主練もとことんやった。あの言葉があったから、オレ自身も考え方も変わったんだと思うよ。
こんなオレに、貴方は一言も
『頑張れ』
なんて言わなかった。ただ、いつも側に居てくれて、普通に話しかけてくれて… 変な気 使うわけでもなく、ただ自然に接してくれたんだ。オレはそれが凄く嬉しくて、気が楽になったんだ。精神的に助けられたんだ。
全て終わった時、貴方が
『よく頑張ったな』
って抱き締めてくれたんだ。どんなに嬉しかったか… この頃には“憧れ”から“恋”に変わってたのかな…
それからは、2人での仕事も増えていって、貴方と一緒にいる時間も増えた。一緒にいればいる程、貴方への想いは募っていく。

でも、どんなに好きでも決して口に出してはいけない…そんなコトをしたら全てが崩れ去ってしまうから… 一生叶うことのない片思い、貴方に届くはずもないオレの想い… 一緒に居られるだけでいいんだ。貴方の笑顔が見れるなら、オレは何も望まないよ… そう思っていても、貴方はどんどんオレの心の中に入ってくる。ちょっとした言葉、さり気ない優しさ、何より貴方の笑顔… そんな些細なコトでオレの心は満たされた。

ある時、ロケ先の立ち寄った店で ふと気になるモノを見つけた。それは、シンプルだけど どんな格好にでも合いそうなブレスレットだった
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