yellowprince

□側にいて…
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T『ガッちゃん、ちょっと肩 貸して』玉は そう言うと、千の肩にもたれかかり すぐに寝息を立てた。 S『玉…』 今は、もうすぐ始まる舞台の稽古中だ。千と玉、宮田の3人で 舞台をやることになった。年上の役者さんも多い中、玉は 座長という大役を任されている。本当なら、舞台に集中しないといけないのだが、玉は ドラマで主演もやっている。そのドラマのスケジュールが、殺人的なモノだった。早朝4時から始まったかと思えば、終了は翌早朝3時… そんなことがザラだった。それに加え、ロケやバラエティー、歌の収録 雑誌の撮影… とてつもない仕事量だった。千の肩で寝息を立てている玉を見て、千は心配で心配でたまらない。顔色も悪いし痩せたし… 玉は、大きな仕事をやり遂げる度に 必ず、一回り成長して グループの元に帰ってくる。グループの為に、色々なモノを吸収して、玉自身も輝いて… そんな玉を誇らしいと思う。羨ましいとも思う。ただ今回は、こんなにも忙し過ぎることは、玉自身も 把握できていなかったらしく、毎日 フラフラになりながらも 仕事をこなしていた。
S『玉…』そっと髪を撫でる。T『う…ん』と 目を覚ます。S『ごめん、お越しちゃったな』 T『ううん… いいよ。少しスッキリしたし』 S『玉、体 大丈夫か?ちゃんと寝れてるか?』 T『う…ん… もう少ししたら、ドラマの撮影も終わるから、そしたらラクになるよ』 S『そっか… もう少しの辛抱だな』 T『うん』 S『舞台も頑張ろうな』 T『うん。ホントに ガッちゃんがいてくれて良かった…』と ニコッと笑う。千は、玉の笑顔が一番好きだった。 玉は、千より1つ年上で 一応、先輩になる。それなのに、とにかく何をしても可愛いのだ。最近じゃあ、男っぽくなってきたけど、基本 フワフワのキラキラのフンワリした自然体なのだ。たまに、先輩面するのも 子供っぽくて、これまた可愛い。壊れたように はっちゃける時もあるし、人見知りだし、すごくシャイだし… 変顔したり、たまに毒舌も吐いたりするけど、そんな玉に いつも癒やされている自分に気付いた時、千は 玉のことを好きになっていた。 ただ、真面目で 物事を突き詰めて考えてしまう性格だから、ちょっと心配もある。
今回のドラマも、とことん勉強して 本物に近付こうとしていたからこそ、余計に大変なんだろう。少し位 手を抜けばいいのに、それが出来ないらしい。 この舞台も、少しでも時間があると、色々な人から話しを聞き 勉強し、自分のモノにしようとしている。前に ゙何でそこまでやるんだ" と聞いたことがある。そしたら ゙オレが手抜いてたら、グループも そう見られるかもしれないから。だから オレは とことんやるんだ" と答えた。玉は、自分よりも グループのことを一番に考えている。それを聞いて、俺も考え方が変わった。まずは、グループを知ってもらおう ってね… そんな玉もひっくるめて、千は 玉が好きだった。 S『俺も 玉と一緒にやれて嬉しいよ』 T『ホントに? でもオレ 自信ないんだよね… 座長だなんて…』 S『どうしたの?』 T『だってさぁ、オレにそんな器ないでしょ。演技だって、歌だって、踊りだって 全然ダメなのにさぁ… そんなオレがさぁ…』と言っている。 S『何言ってんの? 玉は、やればやる程、どんどん成長してくんだよ。今のドラマだって、俺 何回泣いたか… もー すっげー伝わってくるもん』
T『ホント?』 S『ああ』 T『そうなんだ… ガッちゃん、ドラマ 見てくれてるんだ』 S『当たり前だよ』 T『ありがと。嬉しいよ』と これまた笑顔を向ける。S(やっぱ キラキラしてるな…) 『だから、自信持って、前向いて この舞台 やり遂げよう! 俺も 全力でやり抜くからさ』 T『うん! 何か、ガッちゃんに言われて 自信付いたかも!』 S『かも… って』と 笑い合う。 T『そう言えばさぁ、昔オレが 突然 センター行け って言われて なったじゃん』 S『ああ』 T『オレ 凄くイヤでイヤでしょうがなくてさぁ… 端っこに 行こー行こー としてたよね』 S『てか 来てたし。何で センターの奴が端にいるんだよ! ってね』 T『いっつも ガッちゃんが オレを どんどん真ん中に 追いやってさぁ…』 S『追いやった って… 真ん中にいないとダメだろ!』 T『そんなこと何回もあったよね。でも、あれがなかったらオレ、ここには居ないと思うんだ… オレが こうしていられるのも、ガッちゃんのおかげだな』 S『俺じゃないよ。玉の実力だよ』 T『イヤイヤイヤ… ガッちゃんだって!』 S『じゃあ そういうコトにしとくか』 T『うん。だからオレ 頑張らないとね』 千には、玉が頼もしく見えた。
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