yellowprince-2

□ 手
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F『裕太ごめん』
T『何?』
F『明日ダメになった』
T『えーっ 何でー』
F『仕事 延びる』
T『楽しみにしてたのにー』
F『ごめん』
T『もー』
F『ホントごめん』
T『もー』
と 玉は頬を膨らませブーたれている。
F『ごめん』
T『うー』
と 玉は口を尖らす。
そんな玉の唇に、ガヤは チュッ とキスをした。途端に 玉の顔は真っ赤になった。
ガヤは玉を引き寄せ
F『裕太 ごめんな。代わりじゃねーけど、今日も俺ん家 一緒に帰ろ』
と 玉の耳元で囁いた
T『いいの?』
F『ああ』
T『嬉しい』
F『裕太…』
T『何?』
F『愛してる』
T『もー 何だよ突然…』
玉は照れている。

F『すっげー言いたくなった。裕太 愛してる』
T『オレもガヤのことだ〜い好き』
F『大好きって… 他に言い方あるだろ』
T『そんなん恥ずかしいじゃん』
F『俺は 何回でも言えるぞ〜。裕太 愛してる。すっげー愛してる』
T『もー 恥ずかしいよー』
と 2人、セットの片隅の死角で話している。すると

『藤ヶ谷さーん』

とガヤを呼ぶ声が聞こえた。
F『ん? 何だ? ちょっと行ってくるな』
と 玉の頭を撫で 呼ばれた方へ向かう。

T(もー ガヤのバカ…)
と思いながらも、玉の顔には満面な笑みが浮かんでいた。
T(今日も一緒に帰れるんだ)
玉は 幸せな気持ちに浸っている。

玉が 側にあったパネルに手を掛けた。その瞬間 けたたましい音がした。
皆 その音の方へと振り向いた。

スタッフ『崩れたぞー』
『どうしてだー』
『誰もいないか?』

F『あそこは……』
ガヤは 一目散にその場へと駆け寄った。
F『裕太… 玉森がいます』

スタッフ『はっ? 何でだよ』
スタッフ達は急いでパネルを取り除く。すると、うつ伏せになった玉の姿が見えた。

F『裕太』
ガヤが近付こうとしたらスタッフに止められた。

スタッフ『救急車! 早く!』
スタッフは玉に声を掛けるが返事はない。息はしているため命に別状はなさそうだ。
ただ、後頭部から出血している。

余りにも騒々しいため、ミツ達も近付いてきた。
Ki『どうしたんだよ』
Y『何かあったのか?』
ミツと横尾が ガヤに聞いた。
F『裕太が……』
Ki『玉がどうした?』
ガヤは指を指す。

Y『玉……』
Ki『玉、おい!』
2人は 玉に近付こうとしたが、やはりスタッフに止められた。

Ki『何なんだよこれ……』
Y『何で玉が』
Ki『玉 大丈夫なのかよ!』
スタッフ『今 救急車が来ますから』
『落ち着いて下さい』
Y『落ち着いてられるかよ。おい!玉 返事しろ』
Ki『玉!』
ミツと横尾は慌てているが、ガヤは呆然とし、言葉も出なかった。
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