yellowprince-2

□プチ嫉妬
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『裕太はそのままでいい』
『そのまま?』
『ああ』
『そのままって…』
『裕太は、無邪気で、いたずらっ子で、負けず嫌いで、ガキみてぇなトコばっかだけど、人一倍努力してるし、人前ではぜってぇ弱さ見せねぇし、素直だし、計算も打算もなく生きてる』
と言いながら、ガヤは、自分の頬に触れている玉の手を取り、甲にキスをする。
『おまけに、柔らかい雰囲気だし、気取りもしねぇし、調子にものらねぇ。それなのに、男らしかったり、頑固だったりもする』
と 玉の髪を撫でる。
『そう かなぁ…』
玉は不思議そうな顔をする。
『ああ。そんな裕太だから皆からも愛されてるんだぞ。だから、変にカッコつけたり、気取ったり、大人ぶったりしないでくれよ』
『うーん…… とにかく、オレはオレのままでいいんだね』
『ああ。裕太は裕太のままでいいから』
『分かった』
『よし』
ガヤは玉の頭を撫でた。
『じゃあ寝よっか』
『え?』
『眠くなっちゃったもん』
『俺まだ眠くない』
『じゃあオレだけ先に寝る』
『え〜』
『ここで本読めばいいじゃん』
『え〜』
『隣にいてあげるからさ』
と 玉はニコ〜っと笑った。
『しょうがねぇなぁ』
『じゃあ本持ってきてね。オレは横になってるからさ』
『分かったよ』
と ガヤは本を取りに行った。

戻って来たガヤは、玉の横に座ると、ヘッドボードに背を付け本を読み始めた。
しばらくすると、玉が
『ガヤぁ〜』
と言った。
『どうした?』
『寝れないよぉ』
『眠いんだろ?』
『そうだけどさぁ…』
『何?』
ガヤは玉をみる。
『1人じゃ寝れないよぉ』
玉は、ガヤの着ているパジャマの裾を引っ張っると、上目遣いでガヤを見た。
(ヤベぇ… 可愛い… 萌え120%… )
『ガヤぁ〜』
『しょ,しょうがねぇなぁ』
ガヤはサッと本を閉じると、急いで玉の隣に横たわった。
『ありがと』
と 玉はニコ〜っと笑う。
『ったくも〜』
と ガヤは玉を抱き締めた。
『あったかい…』
『そうか』
『うん…』
と言う玉の頭をガヤは撫でる。
すると、すぐに玉の寝息が聞こえてきた。
『もう寝ちまったのかよ…』
ガヤは玉の顔を見、髪や頬を優しく撫でる。
(ったく… 振り回されてばっかだよな…)
ガヤはマジマジと玉の顔を見る。
(ガキみてぇな顔してぇ)
ガヤの顔に笑みが浮かぶ。
(はぁ… 嫉妬… してるよな… 沢村さんにも裕太にも… ホンと小せぇ男だよ 俺は…)
ガヤの顔が真顔になった。
(余裕持ちてぇなぁ 何があっても動じねぇようにさぁ… 裕太を盗られたくねぇし、何より、裕太に嫌われたくねぇからさ…)
ガヤは軽く頷くと
『おやすみ』
と 玉のおデコにキスをし、自分も目を閉じた。

自分の中に、嫉妬と確かな独占欲がある事を改めて気付いたガヤは、大人の男になるべく日々を過ごし始めた。
玉は というと、今日もまた“そのままの玉”で、人々を魅了し続けている。


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