Song of the love to give you who are red

□暖かい家の光と熱い頬。
1ページ/1ページ

「そんなところで何をしているんだ?」
「えっ?」
「夜に女性一人では危ないと思うが、誰か友人でも待っているのか?」
「えっと…」
声をかけてくれた青年は不思議そうに私を見る。私はなんと説明したものかと考えて、考えたらまた涙が出てきた。
「っ…あ、あれ?」
すみません、と言いながらぐいぐいと涙をぬぐうけれどそれは止まらなくて知らないひとに泣き顔を見られるのが恥ずかしくて下を向いてしまう。この人からしたらいきなり泣き出す変な人だしどっかに行っちゃうかな。
「なにがあったのか知らないが大丈夫か?」
そう言ってハンカチを出してくれるなんて思わなかった。世の中にはこんなに優しい人がいるのか。この人のことを紳士というのか。
ありがたくハンカチを使わせていただいて少し落ち着く。
「すみません、ハンカチを…」
「いや、いいよ。それよりどうしたのか聞いても?」
「…はい。」
少しずつぽつりぽつりと話していって、ゆっくりでまとまってない話だったのにその青年はたまに相づちを打ちながらしっかり話を聞いてくれて、知らないひとだと思えないくらいだった。
「じゃあ、君は今変える場所がないということか」
「う…はい」
「……」
話している途中また泣きそうになったのをぐっとこらえてなんとか話しきると、青年、赤司征十郎さんはそう言った。それにはなんの間違いもなくて恥ずかしながら…と答える。ふむ、と赤司さんは少し考える素振りをして口を開いた。
「家に来るか?」
考える素振りも様になるくらい整ってるなぁなんてのんきに考えていた私はそれを何かの聞き間違いだと思った。うん、聞き間違い。
「家に来るか?」
「……聞き間違いじゃなかった!?」
「俺としてはホテル代を出してやってもいいが、もう遅いからな。部屋が埋まっているかもしれないし、家のが近いしな」
「や、でもそれは…」
そこまでいいかけてあれ?これ別にいいんじゃない?と思考を巡らせた。あいつとはもう別れてるんだし、この人紳士+イケメンだしむしろ狙ってしまえばいいんじゃないの?と。
「どうする?」
「…じゃあ、__________」







どーんというかでーんというか…とにかくでかい家。もしかしてこれはもうすでに既婚者で子供までいるんじゃないの?という焦りにおそわれた。嫌な汗かきそうで気持ち悪い。
「こんなに大きいのに一人なんだ。空いてる部屋がいくつかあるからそこを使うといい」
「あ、ありがとうございます」
一人か………一人でこのデカイ家っ!?もう一度外から見て素直に凄いと思った。いや、そうとしか思えなかった。
「早く入りなよ?」
「あ、はいっ」
ぽかーんと口を開けて見ていたらクスッと笑われた。その笑顔が息を飲むくらいキレイでどきっとした。何となく顔も熱い。それをふりきるように小走りで玄関へ入った。
「お邪魔します」
少し緊張ぎみにはいると先にはいって靴を脱いだ赤司さんはくるりとこちらをふりかえり「いらっしゃい」と言った。









〈暖かい家の光と熱い頬。〉

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ