Song of the love to give you who are red

□見送りの声。
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こんこん、とドアをノックする音で目が覚めた。あれ?私、昨日あの部屋を飛び出して、それで…。
「起きているか?」
「っ!?!は、はいぃっ!」
そりゃもう目が覚めましたとも。パッチリですよ。ていうか声だけでもステキ感ただよってるなぁ…。
「今日は大学だといっていたが大丈夫か?」
ケータイのディスプレイを見てみれば朝の8時位を指していた。私はお昼くらいからの授業をとっているのでまだ余裕はあるようだ。
「大丈夫です」
「そうか。あぁ、着替えはそこにあるから、遠慮なく着てくれ」
「へ?」
着替え?と回りを見渡すと小さなテーブルの上にきれいに折り畳まれた服たち。ていうか私なんでTシャツにハーフパンツの状態で寝てたの?いや、どうやって?だって昨日は車の中でそのまま…。
「あ、ああああああ赤司さんっ!?」
「朝食は出来ているから着替えたら来てくれ」
「あ、はーい…じゃなくてっ!」
あさからうるさく叫んでみたけどくすくすと言う笑い声とドアから離れていく足音にガックリと肩をおとした。
着替えてリビングだろう場所に向かうと赤司さんは優雅にコーヒーを飲んでいた。ソファーに足を組んで座っていてなんとも絵になるような感じ…。私が画家だったら是非描かせていただきたいくらいだ。
「あの、」
「なんだ?」
「私、昨日車の中で寝ちゃいましたよね?どうして着替えてベットで眠ってたんですか?」
「ああ、それは俺が着替えさせてベットまで運んd…「いやあああああああああああっ!!!」どうした?」
なんなの?なんなのその笑いをこらえたようなきれいなお顔は!!
「少し悪いとは思ったが、そのままでも寝苦しそうだったからな」
何その知らぬ間の羞恥プレイ。
こんなことならもっとダイエットでもしとくべきだった。ていうかそこまであって何もなかったってことは彼にとって私は女としての魅力なしってことなの!?
「………とりあえず、ありがとう…ございます」
「!…どうしてお礼なんか言うんだ?俺が勝手にやったことで、しかも気に入らなかったことだろう?」
「で、でも私の事を考えてくれたから、ですよね?」
そう言うと赤司さんは驚いた顔をして「そうか。」と言った。
「おもしろいな…」
ぼそりとなにか言ったようだったけれど気にはしなかった。恥ずかしかったから気にしていられなかったの方が正解かもしれないが。
「いただきます」
頭のなかがパニックになりそうなのをこんがり焼けたフランスパンとスクランブルエッグ、コンソメスープを口にかきいれることでどうにか押さえ込む。
「おいしい?」
「おいひいれふ…っん、おいしいです!」
「よかった。簡単なものだけど俺がつくったんだ」
「そうだったんですか!?あ、ありがとうございます、わざわざ…」
お礼を言うと赤司さんは満足そうに笑ってテーブルの上に置かれた鍵を指した。
「俺はそろそろ出るから家を出るとき、帰るときはそれを使ってくれ」
「はい!」
「じゃあ」
「あ…いってらっしゃい、です!」
「…ああ、行ってくる」







〈なつかしい見送りの声。〉

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