Song of the love to give you who are red

□視界の外の赤い髪。
1ページ/1ページ

昨日はたくさん話をした。名前、誕生日、血液型、趣味、仕事…。赤司さんの趣味はバスケだそうだ。たまに昔のチームメイトと集まったりもするんだとか。少し意外。あ、それに棋士もやってるから知り合いの幅が広いみたい。なんて話してたら寝てしまったみたいで気がついたらベットの上…デジャヴ。
起きていくと赤司さんは「おはよう」といって一口コーヒーを飲んだ。「おはようございます」とこたえてテーブルの上の白い皿にのったいくつかの菓子パンを口に投げ込む。本当は朝御飯も作ろうと思っていたのだがどうしてか赤司さんの家に来てから朝に弱くなってしまったようだ。
「今日はなにもないんだったね」
「あ、はい」
「それじゃあ、そうだな…服でも見に行かないか?この家にはそんなに女の子の服はないし買っておいて無駄にはならないだろう?」
「あ、でも」
「お金なら心配要らないよ」
「毎回おごってもらってばかりで悪いです…」
「学生の鈴にお金を出させるわけないだろう?それに昨日は楽しませてもらったし」
「微妙に変な言い方しないでください…」
とか言いつつも名前を呼ばれたことに少し感動というかうれしいというか…。下を向くと赤司さんは小さく笑って「美味しかったよ、ありがとう」といってくれた。
「だからお礼も込めていこうと思ったんだが俺のいうことになにか異論は?」
「う…でも」
「異論は?」
「……ないです」












そんなわけで来ました、ショッピングに。
あ、あれかわいい。
「これ、似合いそうだな」
「あ、かわいいです」
というやり取りを何度したのか分からないくらい赤司さんのセンスがいい。良すぎる。赤司さんパーフェクト。
それにちょっと疲れたなぁって思ってたらお昼にしようかって言ってくれて…。なんかもう私のことを全部わかってるみたい。エスコートまで完璧。
「もういいのか?」
「充分ですよ!本当ありがとうございます」
私が前すんでいた部屋に荷物を取りに行けばなんの問題もないんだけどまだちょっといきたくないっていうか近づきたくもないし、あいつと顔合わせたくないから…本当ごめんなさい。
駐車場を歩くスピードが少しだけ落ちる。それに気づいた赤司さんが私に声をかけようとして息を吸ったのがわかった。でも聞こえたのは少し離れた場所からのよく聞いたことのある声で…。
「… 鈴?」
「っ!?な、んでここに…」
思わず後ずさりをした。だってそこにいたのはあいつ。杉浦 恭だったのだから。










〈視界の外の赤い髪。〉

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ