Song of the love to give you who are red

□4度目の涙は。
1ページ/2ページ

「ずっと夢を見続ければいい」
それはとても甘くて溺れてしまいそうな言葉だった。
「だ、めですよ、そんなの。夢から覚めちゃったときどうするんですか…」
時間がたてばたつほど夢から覚めたくなくなる。そんなときに覚めてしまったら?
「私、臆病なんです…めんどくさい奴なんですよ。…っ!」
私の頬は赤司さんの手に包まれたままだから逃げる間もなく赤司さんの目が近づいた。息がかかるくらいの距離に私はびっくりして動けなかった。
「絶対覚めさせないよ」
「…人の心に絶対なんてないですよ」
「そうかもしれないな」
「ほら…」
「でも、俺の言うことは絶対だ」
どうしてかわからないけどその言葉はしっくりきて私の胸にすとんと落ちていった。
「なんですか、それ」
「そのままの意味だ」
「…あははっ」
「ふっ…」
おでこをコツンとぶつけて笑った。













「そういえば私、ちゃんと告白されてないですよ?」
「鈴もしてないだろう?」
「私はしましたよっ!?赤司さんのこと好きになっちゃうから、って…」
「好きになる、ってことは今はまだ好きではないということか?」
「ちがっ…い、今も好きですよ…」
ううっと熱くなる顔を手でおおう。それを見て赤司さんが笑ったのがわかって少し悔しくなる。
後ろからぎゅっと抱きしめられた今の状態では赤司さんの顔が見えないけれど今は多分顔を見るだけでも恥ずかしくて全身の熱が集まっちゃいそうだ。それに背中から伝わる赤司さんのとくん、とくんという心臓の音にほっおするからいい。
「はぐらかされた…」
「からかうと面白いから」
「大切にしてくださいよ?」
「もちろん。誰にいってるんだ?」
「そうでした、赤司さんでしたっ!」
自信たっぷりに言う赤司さんの表情を想像して少しだけ笑った。私が笑うと赤司さんもつられるように小さく笑うのが嬉しい。
「さっきまであんなに苦しかったのに…」
「何かいったか?」
「ううん。…少し眠くなってきちゃいました」
「このまま寝ても構わないよ」
「ん…」
少しずつ意識がぼんやりしてくるなか、私は赤司さんの手を握った。







「好きだよ」


耳元でそう聞こえた気がして私はまたうれしくなった。
目を閉じたとき一筋だけ雫が伝った。










〈4度目の涙は。〉

→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ