Song of the love to give you who are red

□優しい彼の手。
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「と、いうわけで付き合うことになりました」
「まーじか」
「マジです」

只今、講義終了直後です。とりあえず全部話しちゃってる梨紗にはごほーこくを、と先日あった赤司さんとのことを話しました。
「ちょっと心配してたけど大丈夫だったみたいねー」
「心配って…赤司さんとのこと?」
「それもそうだけど杉浦 恭のこと」
「あー…うん、まぁ」
「赤司さんとそうなったならもう大丈夫でしょ。気持ち的にも、対人的にも」
「えっと…どういうこと?」
「話からしてあいつがアンタに嫌がることしたら社会から消されそう」
「ハハハハハ…」
ありそうで怖いかもー。
「で、どこまで進んだわけ?」
「いや、こないだそうなったばっかりだよ?」
「でも同じ屋根の舌で暮らしてるんでしょ?」
「そうだけど、特には…。あの時うしろからぎゅってされただけで…」
「はっ!?!ハグだけ!?ちゅーは?ちゅーもまだなの!?」
「まだだよっ!!」
はぁぁ…と梨砂はため息をついて肩に手をおかれた。
「おいおい、赤司さんホントに男かよ」
「男だよっ!ていうか梨砂さっきからケータイ鳴ってるよ?」
「知ってる。陽斗だからいいの」
「陽斗ってたしか彼氏でしょ?いいの?」
「あいつ、大学じゃ結構人気だけど最低だわ」
「そうなの?」
「8割くらいが身体目的ね。うざいから無視してんの」
「うわ…。梨砂かわいいからそういうの多いよね…早く別れなよ?」
「かわいいって鈴には言われたくないわねっ。りょーかい」
「え、ちょっとどういうことっ!?」
「あんたのが数倍かわいいってこと」
「そんなことないし…」
そうやって赤くなるのがかわいいんだっての、とデコピンされて額をおさえる。


「ん?あれって鈴のじゃない?」
「私の?…って赤司さん!?」
歩く先、キャンパスの入口に綺麗な赤髪が見えて驚く。
「やぁ、鈴。…と友人かな?」
「初めまして。鈴の友人の古川梨砂です。赤司さん、ですよね?」
「ああ。赤司征十郎だ。よろしく」
「あ、赤司さん、なんでここに…」
「迎えに来たらいけなかったか?」
「違う、けど…仕事は?」
「今日は棋士の方だったからね。何局か打って暇になったから来たんだが、古川と遊ぶつもりだったか?」
そう言われてチラリと梨砂を見るとニヤリと笑いながら背中を押され、赤司さんにダイブした。
「わっ!」
「大丈夫ですよ!私もこれから彼氏のとこいくんで!じゃ、鈴のことよろしくでーす!」
「ああ、今度家にでも遊びに来てくれ」
「はーいっ!」



ぶんぶんと手をふりながら走っていく梨砂を見送ったあとそのまま二人で家までかえることにした。初めてあったときの公園とか家から見えた所とか、いろんなところを歩いてたくさんしゃべった。
そんな何でもないことがすごく楽しくて幸せに感じられるのはきっと私が赤司さんのことをもうどうしようもないくらい好きになってるからだと思う。それを伝えたい。家に着いたらまた夕飯は湯豆腐にしよう。そんなことを考えていたらいつのまにか私の手は赤司さんにとられていた。しっかりと繋がれたそれに笑みをこぼして、私はそっと握りかえした。












〈優しい彼の手。〉

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