うたプリ長編♪

□変態アイドル?
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「ああ、やはり知りませんでしたか」
「…テレビは見ないもので」
「まぁ、予想はしていましたよ。こうして話していても普通にしてますから」
「いまさら対応を変えようとは思わないし」
「貴方らしいですね」
「私らしいですか」
「はい」
今話しているのは赤髪の片割れ、一ノ瀬だ。一十木は外を走ってくるといって出ていった。犬だ、あいつは。
「 紅葉さん 」
「なに?」
「 紅葉さんは大学生ですか? 」
「そうだけど」
「楽しいですか?」
「それなりに」
「そうですか…」
「なんでそんなこと聞くの?」
「私は普通の学生生活は送ってませんので…」
あー…なるほどね。
「芸能なんて厳しそうだもんな…。でもさ、大変なのはどこにいても変わんないもんだよ。結局はその大変さから何を得るか、だ」
そう言うと一ノ瀬は一瞬驚いた顔をして笑った。
「貴方は面白い人ですね」
「私のはなし、おもしろかった?」
「ええ。…とてもいい話でした」
「あ、そう」
一ノ瀬の表情が柔らかくなったのを確認して立ち上がった。
「じゃ」
「もう行くのですか?」
「おじゃましました」
ちゃんといって去ろうとしたが手がなにかに引っ張られて私はつんのめってコケた。
「いっだ…!何するんだコノヤロウ」
「もう少しここに居てください」
「……」
転ばせたことを謝りもしないのかよ。てか、コイツ力つえー。手がつかまれたままはなれない。は、な、れ、な、い。
「ここに居てくださいじゃなくてここにいろ…状態なんだけど」
「ええ。強制です」
「ざけんな」
今の状態は私が手をつかまれたまま仰向けに倒れていて、一ノ瀬が手をつかんだまま私をしゃがみこみながら見下ろしている。
ナンダ、コノジョータイ。
「とりあえず起き上がりたいんだけど」
「貴方を見下ろすというのも結構楽しいものですね」
「変態か」
「いえ、違います。アイドルです」
「変態アイドル」
「やめなさい」
「…ハイ」
すごい圧力だった。真上からだったからものすごかった。
「……」
「……」
「……」
「……」
「おい」
「はい」
「何がしたいんだよ」
一ノ瀬は少し考える素振りを見せてやっと私の手を離した。
「なにがしたかったんでしょう?」
「知るかっ!」
「考えるより先にからだが動いてました」
「お前それ万引きしてから言ってみろ、警察行きだかんな?」
今度は手が上に引っ張られて起き上がる。
「…」
「…なんだよ」
「いえ、立っても見下ろすことに変わりはないとか思ってませんよ」
「うっぜぇ」
ぺしっと手を振り払うついでに細いお腹にグーパンチしておいた。
「っ…なにするんですか」
「からだが勝手に動きましたー」
「…」
窓の外に赤髪がみえたのを確認するとドアに手をかける。
「んじゃ」
今度は返事も聞かずに出た。
また捕まるのも帰ってくる赤髪に捕まるのもごめんだ。






「ただいまー!あれ? 美音かえったの?」
「はい、先程」
「んー、まいっか。すぐ会えるんだし」
「音也…」
「ん、なに?トキヤ」
「…貴方は考えるより先にからだが動きそうですよね」
「え、なに、俺バカにされてんの?」





END

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