短編

□眠り姫にキスを
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「…相変わらずいい曲ですね。」
「ありがと」
彼女のつくった音源を聞かせてもらい感想を述べると彼女は小さく笑った。少しだけ直すところを言うとすぐに直してしまったためそのまま練習を開始する。
レコーディングルームの向こうで音源を流す彼女と目があって笑顔を向けられると私も自然と頬が緩んだ。



彼女も疲れてるようだし私も喉を痛めてはいけないので少し休憩をはさむことにする。
飲み物を買って戻ると彼女は椅子に座ったまま眠っていた。私は誘われるようにして彼女に近づき、彼女の唇に自らのそれを触れさせた。それは一瞬ですぐに離される。

彼女は泣いていた。瞳を閉じたまま静かに涙を流していた。




しばらくして彼女は起きた。
練習は何事もなかったように再開された。
その日、とてもいい曲が完成された。








END

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