短編

□眠り姫にキスを anotherstory
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持ってきた音源が流す。
流れ終わるとトキヤがこちらを向いた。
「相変わらずいい曲ですね。」
「ありがと」
ふっと緩んだトキヤの顔がかわいくて少しだけ笑った。
トキヤに言われたところをすぐに直してレコーディングの練習をはじめる。一枚のガラスを挟んだ向こうにいるトキヤと目があって笑顔を向けるとトキヤもこちらを見て微笑んでくれた。


作曲で疲れがたまっていたしトキヤの休憩も含めて練習を中断した。トキヤは飲み物を買いにいってくれて私は少しだけ目を閉じる。すぐにドアの音がして、トキヤが帰ってきたようだった。もう少しだけ目を閉じていようと思いそのままでいると唇に温かい何かがあたった。私はたまらなくて、目を閉じたまま泣いた。今すぐ目を開けてトキヤの顔を見たかったけれど、それは叶わないことだから…。




しばらくして目を開けた。
練習は何事もなかったように再開された。
その日、とてもいい曲が完成された。
まるで私のトキヤに対する思いのような曲が。








END

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