zzz

□星に願いを.
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京の夏は蒸し暑い。
パセリがこの屯所に来てから
もう一年が経つ。



…あの日、私は新選組にとって
見てはいけないものを見てしまった。
しかも最悪の形で。

「君って…本当に運がないよね」
その言葉がどんなに私を落ち込ませ、
自身の運の無さを自覚させられただろう。



私は、女子高生のはずだった。
確か記憶では帰り道に、…。

コンビニに寄ってアイスを買って…
近所の寺の境内に座り込んでそれを
食べていたはず。

いつの間にか寝てしまったのか、
気付いたら知らない町の通り。
「どこだここ」状態だ。


しかもなんだか…
「THE・歴史ある場所」
って感じの通り道に、溶けかけた
アイスを持って座っていたわけだ。

道行く人は私をジロジロ見ている。
皆着物。なんだここ。
なんかの撮影?

頭がパニックになっている。

なんかのテーマパークだと
考えついた私は、出入口を
探して歩き回った。

だけどやがて日が暮れてきて…
出入口も見つからず、途方にくれて
いたころに、裏の細い道で何かをがたんと
倒す音がしたのが聞こえた。

そうだよ、何故思いつかなかったんだ…!!
最初っから聞いてみればよかったんじゃ
ないか、とその人に近づく。

が。


第一印象。白い。
第二印象。やばい。


あとで知ったが、新選組の人は
それを羅刹と呼ぶらしい。
まあ吸血鬼の劣化版だろう。

本能で逃げ出していた。

あっちもこちらに気づいたのか、
滅茶苦茶人外なスピードで
追いかけてくる。

しかも変な声上げてるし…!!

必死で逃げて逃げて…けれど
普段から運動なんかしてない私は
すぐにガス欠になってすっ転んでしまった。


あ・やばいこれ。死ぬ…!!;


髪の白い人の形をした人間じゃない何かが
刀を振り上げたのが見えた。
私は瞬間的に目をつぶっていた。


が、次に襲って来るはずの痛みは
なかった、誰かが目の前に立ちふさがって
相手を切り倒したのを見た。


「君って運がないよね…」


これが私と沖田総司の最初の
出会いになる。血を浴びた姿は
もうめまいがするくらいだった。

その後、屯所という場所に連れて行かれ、
なんとか事情を説明して、置いて
もらえる事になった。

着物とは違う制服で、話す言葉も砕けた
言葉遣い。この時代にはないであろう
技術の賜物である携帯を見せて
やっと理解を得た。

信じてない人もいるみたいだが。
とりあえず、住む場所は得た。

もうひとり、捕縛された子がいる
って聞いたけど。私と同じものを
見ていたようだ。


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