桜の旅路
□僕の下僕。
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蒸し暑い夏が始まり出した頃、風紀委員で忙しなく働く斉藤は学校の門の前にいた。どれだけ暑い夏であろうと風紀を乱す様な制服の着方や違反物の持ち込みを取り締まっているのだ。
「そこのお前。ちょっと止まれ。」
今日も朝から厳しく生徒をチェックしているのだ。一人の生徒を呼び止めると耳が見えるように髪をかき上げた。すると耳に髑髏のゴツいピアスが。完全に校則違反である。どうやらこの生徒は髪で隠せばバレないと思っているようだ。
「学年とクラスと番号を言え。」
「えと…一年十組の◯◯です……」
「…一回目だから没収は勘弁してやるが次は無いからな。」
その生徒はお辞儀すると早足で門をくぐって行った。そろそろ登校時間ギリギリで来る生徒がたくさん来るはずだ。特に、沖田 総司と藤堂 平助。この二人はよく遅刻する。既に風紀委員のブラックリストに掲載済みだ。
「そんな顔しても遅刻は減らないぞ。」
「南雲…」
「あ、来た。…」
前方から走って来る三人組。
遅刻組二人と、唯一の女子生徒の雪村千鶴だ。
「平助くん!何でもっと早く起きれないの⁉」
「最近 文化祭の準備で忙しくて寝れねぇんだって!」
「そ、それならしょうがないけど…」
「許しちゃダメだよ、千鶴ちゃん。どうせ嘘だよ」
「うるせぇよ総司!お前だって遅刻してるくせにっ」
バタバタと走っている努力は認めるが、
「3人とも遅刻だ阿呆。」
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