駄文
□白と黒
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鮮やかな世界。
様々な色がひしめき合って、其れを成す。
その視界に映った紫と銀。最後に見た色は其れだった。
それからは白と黒のモノクロ世界。
貴様がいるからなのだろうか。
我の瞳に移りし色は…
「よぉ、毛利」
そう言って近付いてくるのは憎くて仕方のない敵国の将。
「何の用だ、我は貴様に割く時間など持ち合わせておらぬ。早急に用件を述べよ」
「相変わらずひでぇな、アンタ。まあ、そう急かすなよ」
「おい…勝手に上がるでないわ」
「別にいいだろ、んなことは。それに此処は、落ち着くんだよ」
アンタがいるからだ、と耳元で囁いてくる。
此奴はいつもこうだ。意味が解らぬのだ。
斯様な戯言、聞き飽きた。
此奴だけでは無い、我を見た者共は、何人もそうやって言い寄って来る。
本当に聞き飽きたのだ。
お前のことが好きだ、とか
お前が欲しい、とか
どの言葉も台詞は違えど、同じように聞こえた。
身体目当てで寄って来る。
どいつもこいつも、何も宿さぬ目をして我を見る。
此奴もそうに違いない。